ピコトーニングとレーザートーニングの違い
- 2026年9月21日
- レーザー治療
ピコトーニングとは、ピコレーザーを用いて、通常のシミ治療よりも低い出力で顔全体にレーザーを照射していく治療法です。一方、レーザートーニングとは、従来のQスイッチレーザーを用いて、同様に低出力で照射する治療法です。
「ピコレーザーの方が新しい機器だから、従来のレーザートーニングより治療効果が高いのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、実際はそれほど単純な話ではありません。当院にはピコレーザー、Qスイッチレーザーともにありますので、何ら忖度なく説明します。
まず、ピコトーニングとレーザートーニングの共通点として以下のようなものがあります
①1064nmの波長のレーザーを照射する:一般的に1064nmが用いられますが、755nmの波長で行うトーニングもあります。
②ダウンタイム:どちらもダウンタイムはほとんどなく、治療直後から洗顔やメイクは可能です。
③肝斑やくすみの改善:どちらもメラニンを破壊することで肝斑やくすみは徐々に改善します。
その一方で、ピコトーニングとレーザートーニングの最大の違いは「パルス幅」です。Qスイッチレーザーのパルス幅がナノ秒単位に対し、ピコレーザーはさらに短いピコ秒単位です。パルス幅が短いピコレーザーは瞬間的にメラニンを破壊しているのに対し、Qスイッチレーザーはそれより少し時間をかけてメラニンを破壊するイメージです。
ただし、「Qスイッチレーザーはナノ秒(10億分の1秒)なのに対しピコレーザーはピコ秒(1兆分の1秒)のため、ピコレーザーはQスイッチレーザーより1000倍パルス幅が短い」と説明されていることがありますが、これは全く正しくありません。一般的に用いられる波長1064nmにおけるピコレーザーのパルス幅は数百psほどであり、Qスイッチレーザーは数nsほどです。つまり、パルス幅が1000倍も異なることはなく、機種によっても異なりますが実際のパルス幅の差は数倍~十数倍程度です。

では、このパルス幅の差が臨床的にどのような差をもたらすのでしょうか?
①治療効果
ピコトーニング、レーザートーニングともに肝斑を改善する効果が報告されています。ともにメラニンを破壊する作用がある(医学的に表現するとピコレーザー、Qスイッチレーザーともにメラニンの熱緩和時間より短い)ためです。ただし、現時点では「ピコトーニングの方がレーザートーニングより明らかに効果が高い」とする十分なエビデンスはありません。そのため、「新しいピコレーザーだから、従来のQスイッチレーザーより必ず効果が高い」と考えるのは正しくありません。
②炎症後色素沈着のリスク
ピコトーニングでもレーザートーニングでもメラニンを破壊する限りは炎症が生じるため、どちらの方法でも炎症後色素沈着のリスクは伴います。しかし、瞬間的にメラニンを破壊し、周囲組織に熱を与える影響が小さいという観点からはピコトーニングの方が炎症後色素沈着のリスクは低い可能性はあると考えます。実際、当院の経験でもタトゥーや異所性蒙古斑の治療では明らかに炎症後色素沈着のリスクは下がりました。しかし、現時点では「ピコトーニングの方がレーザートーニングより明らかに炎症後色素沈着のリスクが低い」とする十分なエビデンスはありません。
③色素脱失(白斑)のリスク
ピコトーニング、レーザートーニングともに問題となる合併症ですが、現時点で明らかな差があるのかは不明です。いずれにしても白斑はいったん起こってしまうと改善が難しい合併症であるため、どちらのレーザーを使用する場合でも、早期発見に注意しながら治療を継続することが重要です。
結論としては、ピコトーニング、レーザートーニングのどちらか一方が明らかに優れた治療法というわけではありません。ただし、医学的に十分には解明されていませんが、合併症リスクはピコトーニングの方が低い可能性はあり、好みやこだわりがない方はピコトーニングを選択するといいと思います。

監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長
皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。
皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。