ニキビ跡(クレーター)|クリニックひいらぎ皮膚科形成外科|池尻大橋・渋谷・三軒茶屋

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ニキビ跡(クレーター)

ニキビ跡(クレーター)|クリニックひいらぎ皮膚科形成外科|池尻大橋・渋谷・三軒茶屋

日本のニキビ跡治療の現状

ニキビ跡は病気の後遺症であるにも関わらず、医学部の授業で習うことはありませんし、勤務医は治療をすることもありません。そのため、他の病気(の後遺症)と異なり、日本では開業医のみが治療してきたという歴史があります。また、機能的な障害を生じるわけではないため、やや軽視されてきた側面もあるように思います。

その結果、ニキビ跡治療は学問として発展しておらず、真剣に取り組んでいるクリニックはごくわずかであるのが現状です。ニキビ跡を治療するためには皮膚科学、形成外科学、創傷治癒、麻酔の知識や経験が必要であり、形成外科専門医や皮膚科専門医しか正しい治療を行うことはできないと考えます。

当院には日本全国や海外からニキビ跡の治療を希望して来院されており、年間700件以上の手術(2024年1月4日~12月30日)を行っています。多くの方に来院していただいていることが信頼の証であり、専門医が所属する医療機関として私達も期待に応えるために日々真剣に治療に取り組んでいます。

ニキビ跡の分類

ニキビ跡は以下の4つに分類されます。

萎縮性瘢痕(クレーター)

陥凹したニキビ跡であり、クレーターと呼ばれることもあります。一般的にイメージされるニキビ跡のことです。

炎症後紅斑(赤み)

炎症で毛細血管が拡張することによって生じる皮膚の赤みです。

肥厚性瘢痕・ケロイド

ニキビ跡が赤く盛り上がった状態です。フェイスラインや背中に起こりやすいことが特徴です。

炎症後色素沈着

ニキビの炎症でメラノサイトが活性化したことによって起こる茶色の色素斑です。

萎縮性瘢痕(クレーター)の分類

萎縮性瘢痕(クレーター)は、①アイスピック型、②ボックスカー型、③ローリング型に分類されます。

アイスピック型

開口部は小さいのですが、アイスピックのように奥に深いタイプです。表皮、真皮を越えて深く凹んでおり、皮膚の再構築が期待しにくく、最も治療が難しいタイプです(深いやけどほど治癒するのに時間がかかり、きれいに治りにくいことと同じ理屈です)。

ボックスカー型

貨物列車(boxcar)のように四角にへこんでおり、ニキビ跡で最も多いタイプです。ニキビ跡は浅く、底面が平らになっています。真皮層が残っているため、最も治療効果が期待できます。

ローリング型

楕円形で緩やかに凹んでおり、底面がお椀のようになっているタイプです。ニキビの炎症が真皮や皮下組織に波及し、組織が強く収縮することによって生じます。瘢痕形成の程度によってはアイスピック型と同様に治療が難しいことがあります。

クレーターの治療

ニキビ跡の治療は医学的根拠が確立されつつあり、皮膚の状態を正しく評価することによりほとんどのニキビ跡は改善させることができるようになりました(ただし、一定のリスクとダウンタイムは伴います)。当院では有効性が広く認められているニキビ跡治療はほとんど行っていますので、最善の治療法を提案します。

クレーターの治療は、端的に表現すると2つしかありません。それは、表皮や真皮からの皮膚の再構築を促す治療」と「ニキビ跡の深部にある瘢痕を解除する治療」の2つです。

「表皮や真皮からの皮膚の再構築を促す治療」にはいくつかの方法があり、この再構築のきっかけを薬剤で与えるものがピーリング、トレチノイン、TCAクロス、スキンブースター、針で与えるものがダーマペン、ラジオ波で与えるものがポテンツァ、レーザーで与えるものが炭酸ガスレーザー、フラクショナルレーザーになります(炭酸ガスレーザーとフラクショナルレーザーは組織を蒸散させる点では共通していますが、ニキビ跡に対する照射方法は全く異なります)。。

その一方で、「ニキビ跡の深部にある瘢痕を解除する治療」は今のところサブシジョンしかありません(サブシジョンを医療機器で行うものもあります)。そのため、ニキビ跡の治療の原則はサブシジョン(Subcision)を行い、さらに「皮膚の再構築を促す治療」を追加するということになります。

「皮膚の再構築を促す治療」は治療効果、ダウンタイム、費用の3点を考えて選択するのがいいと思います。一般的にダウンタイムが長いものほど治療効果は高くなり、ダウンタイムが短いものほど治療効果は小さくなります(残念ながらダウンタイムが短くて治療効果も高いという夢のような治療法はありません(ただし、スキンブースターは今後この概念を変える可能性はあります))。個人差やニキビ跡の状態、治療歴によっても左右されますが、おおよそ治療効果とダウンタイムの関係は以下のようになります。ただし、炭酸ガスレーザーは、皮膚を再構築するというより、正確には「長いダウンタイムとリスクはあるがエッジを取るにはこの方法しかない」という位置付けです(後述しますが鼻尖・鼻翼に対する役割は異なります)。

治療効果(高い順)

炭酸ガスレーザー>>>スキンブースター>ポテンツァ≧フラクショナルレーザー(ablative)≧ダーマペン>フラクショナルレーザー(non-ablative)>ピーリング>トレチノイン

ダウンタイム(短い順)

トレチノイン≧ピーリング>スキンブースター≧フラクショナルレーザー(non-ablative)>ダーマペン≧フラクショナルレーザー(ablative)≧ポテンツァ>>>炭酸ガスレーザー

①サブシジョン

皮膚の下(正確には真皮とSMASという筋膜の間)の瘢痕組織を切ることによって皮膚が引き込まれた状態を改善させます。局所麻酔を行った後に、サブシジョン用の針で瘢痕組織を剥離し、凹みをなだらかにします。単に癒着をはがしただけでは再度癒着するため、ヒアルロン酸などのフィラーを注入することで剥離した層を持ち上げると同時に再癒着を予防します。

一般的にはローリング型のニキビ跡に適応とされていますが、アイスピック型やボックスカー型も皮膚の下の瘢痕があるため、全てのタイプのニキビ跡に適応があります。サブシジョンは特にこめかみ、頬、フェイスラインのニキビ跡に有効です。ただし、こめかみには顔面神経側頭枝という重要な神経が走行しているため、神経を損傷しない範囲で行います(これまで当院では顔面神経側頭枝麻痺の発生は一例もありません)。

また、前額、下顎はやや治療効果が劣ります。さらに、鼻(と白唇部(鼻と唇の間))に対する治療効果はあまり期待できず、原則としてサブシジョンは鼻には行いません(正確に言うと鼻翼と鼻尖には効果が期待できず、鼻根と鼻梁はやや効果が期待できます)。そのため、鼻と白唇部はサブシジョンではなく、皮膚を再構築する治療を優先します。

サブシジョンについて詳しくはこちら

②炭酸ガスレーザー

皮膚に含まれる水分に反応して組織を蒸散させるレーザーです。ニキビ跡の角(エッジ)を削ることにより平坦なキズにすることで「ニキビ跡っぽさ」を改善させることができます。当院では、拡大鏡下に炭酸ガスレーザーを照射しており、0.1mmの違いにこだわりニキビ跡を目立たせなくすることに取り組んでいます。

照射した部位はキズになりますので、2週間のアフターケアが必要になります。この2週間のアフターケアは治療結果を左右するため厳密に行っていただきます。その後、3~12ヵ月間ほど赤みが続きますが、徐々に軽快していきます。最もダウンタイムが長く一定のリスクを伴う治療法ですが、ニキビ跡のエッジを改善させるにはこの方法しかありません(詳細は後述します)。

術式:サブシジョン+ヒアルロン酸+炭酸ガスレーザー

治療回数:1回

合併症:内出血、腫れ、赤み、肥厚性瘢痕・ケロイド、知覚低下、陥凹の再発、炎症後色素沈着、硬結(しこり)、皮膚の質感の変化、色素脱失、顔面神経側頭枝の損傷、局所麻酔のアレルギーなど

費用:121,000円

③スキンブースター

真皮に直接注入することで真皮を再構築する治療法です。

従来、皮膚を再構築するにはダーマペン、フラクショナルレーザー、ポテンツァなどであえて皮膚に損傷を加えて創傷治癒を促す方法が主流でしたが(ドラッグデリバリーは少し意味合いは異なりますが)、近年ではスキンブースターを用いて真皮を再構築する方法が主流となりつつあります。その理由としては、ダウンタイムが短く、治療効果が高いためです(ただし、従来の方法より費用はやや高額になります)。

代表的なスキンブースターとしてジュベルック、リジュラン、プルリアルなどがあります。当院ではいずれの薬剤も水光注射(ダーマシャインプロ)を用いて、均一の間隔かつ均一の投与量とすることで自然な仕上がりになるようにしています。

④フラクショナルレーザー

皮膚表面にごく小さな点状の穴を多数あけ、そこから皮膚の再構築を期待するレーザーです。施術前に麻酔クリームを塗布しますので、痛みはそれほどありません。当院はルートロニック社のeCO2 Evolutionを用いており、レーザー照射径・エネルギー・照射密度などを最適化しながら治療を行います。

ニキビ跡の治療だけでなく、毛穴や皮膚の引き締めにも使われます。赤み、腫れなどが生じますが、1週間ほどで軽快します。フラクショナルレーザー単独での治療は、瘢痕形成の少ないボックスカー型に有効であり、2週間~1ヵ月ごとに5回程度の施術を行います(フラクショナルレーザー単独ではアイスピック型やローリング型に対する効果は限定的です)。また、炭酸ガスレーザーなどを用いた治療後の皮膚の質感改善にも有効です。その場合、1ヶ月ごとに繰り返して治療を行うことをお勧めしています。

フラクショナルレーザーは以前から広く行われてきた治療法ですが、スキンブースターの発達によりニキビ跡に対しては徐々に用いられる頻度は減っています。

⑤ダーマペン

髪の毛よりも細い極細針を電動でコントロールし、皮膚に微細な穴を無数に開けることで皮膚の創傷治癒を引き起こし、ニキビ跡を改善させる治療です。施術前に麻酔クリームを塗布しますので、痛みはそれほどありません。

ニキビ跡の治療だけでなく、毛穴や皮膚の引き締めにも使われます。施術後は赤みや出血、腫れがありますが、出血するくらいしっかり治療する方が効果は高くなります。ダウンタイムは1週間ほどです。フラクショナルレーザー単独での治療は、瘢痕形成の少ないボックスカー型に有効であり、2週間~1ヵ月ごとに5回程度の施術を行います(フラクショナルレーザー単独ではアイスピック型やローリング型に対する効果は限定的です)。また、炭酸ガスレーザーを用いた治療後の皮膚の質感改善に有効です。その場合、1ヶ月ごとに繰り返して行うことをお勧めします。

ダーマペンは以前から広く行われてきた治療法ですが、スキンブースターの発達によりニキビ跡に対しては徐々に用いられる頻度は減っています。

⑥ピーリング

毛穴のつまりや古い角質を取り除き、皮膚の新陳代謝を促します。ゆっくりとニキビ跡を改善させる効果が期待できますが、ニキビができにくくなることに加え、皮膚の質感を改善させることに効果が期待できます。2週間~1か月に1度のペースで行います。

ピーリングはダウンタイムや副作用が少なく、手軽に行いやすい治療です。

⑦トレチノイン

シミを薄くする外用薬として知られているトレチノインですが、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)を促す作用があります(その作用を利用してメラニンを排出することでシミが薄くなります)。

この作用を利用して、炭酸ガスレーザーによる治療後などのわずかな陥凹の改善に対して用いられます。A反応(赤み、ヒリヒリ、皮むけ、乾燥など)が出ることもありますので、濃度や塗布する頻度を医師の診察で決めます。自宅で継続的に皮膚の再構築を促すことができることがトレチノインの最大の利点です。

⑧TCAクロス

TCA CROSSとはTrichloroacetic Acid Chemical Reconstruction Of Skin Scarのことで、高濃度のトリクロロ酪酸(TCA)を塗布することで皮膚の再構築を促します。液体による治療のため深いニキビ跡にも有効で、主にアイスピック型の治療に用いられています。

しかし、TCAクロスはAcidという単語が含まれていることからもわかる通り「酸」の作用で皮膚に障害を与えます。ニキビ跡の治療では、皮膚の再構築を促す深さや範囲を厳密に調整することが重要です。TCAクロスでは影響を与える範囲を微調整することが難しく、効果が乏しい、あるいは逆に悪化や色素沈着を起こすリスクがあると考えており当院では採用していません(皮膚の再構築を促す深さや範囲を厳密に調整するには炭酸ガスレーザーの方が優れています)。

本気でクレーターを治療したい方に -なぜほとんどの治療は効果がないのか?-

皮膚は浅いところから表皮、真皮、皮下組織という構造に分かれますが、真皮や皮下組織に損傷や炎症を生じると、皮膚が瘢痕組織という硬い組織に置き換わります(表皮のみの損傷は上皮化という機序で再生するため、瘢痕組織に置き換わることなく、跡を残さずに治癒します)。さらに、損傷や炎症が起きた組織は縮んで治癒する性質があるため、ニキビが繰り返しできることによって徐々に組織が収縮し、皮膚が陥凹してニキビ跡になります(深い熱傷やケガが縮んで治るのと同じ理屈です)。つまり、ニキビ跡(クレーター)は正常皮膚が瘢痕組織によって置き換わること、組織が収縮することで皮膚が陥凹することによって起こります(実際に、ニキビ跡は英語で「acne scar (acne:ニキビ、scar:瘢痕)」と表現されます)。

創傷治癒を専門とする私たちは、瘢痕によって組織が収縮した状態を治療する際に、瘢痕を切り離すこと、そして切り離したことによって不足した組織を外から補うことを考えます。例えば、このように熱傷で皮膚が拘縮し、関節が動かなくなった方を治療する際、私たちは拘縮した部分の皮膚を切り離し、生じた皮膚の欠損に対して他の部分から植皮(皮膚移植)や皮弁移植(血流のある組織の移植)を行うことで、不足した皮膚を補います。      

では、ニキビ跡の治療について考えてみます。ダーマペン、フラクショナルレーザー、ポテンツァ、シルファームなどは、表皮や真皮にあえて損傷を加え、創傷治癒を促すことによって、皮膚の再構築を促す治療です。足りない組織を外から補うような治療ではありません。では、本当にこうした治療のみで皮膚の瘢痕組織が減少し、収縮した組織を補うだけの皮膚の再構築が起こるのでしょうか?

結論としては、瘢痕形成や組織の収縮の少ないニキビ跡(主にボックスカー型)には効果がある可能性はありますが、ローリング型やアイスピック型は多少の皮膚の再構築程度では治療効果を実感することができません(もちろん個人差はあります)。

そのため、さきほどの熱傷の例で説明したように、ニキビ跡の治療においても瘢痕を切り離すこと、他の部分から組織を補うことが重要な治療選択肢です。ニキビ跡の治療において「瘢痕を切り離すこと」にあたるのがサブシジョンであり、「他の部分から組織を補うこと」がヒアルロン酸などのフィラーになります(フィラーに関しては後述します)。一般的にサブシジョンはローリング型に有効とされていますが、実際にはアイスピック型やボックスカー型も皮下組織(正確には真皮とSMASという筋膜の間)の瘢痕形成がありますので、どのタイプのニキビ跡にも有効です。そのため、「サブシジョン」+「皮膚の再構築を促す治療」が現代医学で妥当なニキビ跡治療です。

どのようなニキビ跡はサブシジョン単独で治療できるのか?

ニキビ跡には、サブシジョン単独で治療することをお勧めするものと他の治療法の併用をお勧めするものがあり、この違いは治療方針を決める上で重要です。

「ニキビ跡にエッジ(角:かど)がないもの」はサブシジョン単独で治療効果が期待できます。つまり、下の図のようにニキビ跡の辺縁にエッジがなく、波打っているようなものはサブシジョン単独の治療で十分です。

術式:サブシジョン+ヒアルロン酸

治療回数:1回

合併症:内出血、腫れ、赤み、肥厚性瘢痕・ケロイド、知覚低下、陥凹の再発、炎症後色素沈着、硬結(しこり)、顔面神経側頭枝の損傷、局所麻酔のアレルギーなど

費用:88,000円

しかし、下の画像のようにニキビ跡の辺縁がエッジを持って落ち込んでいるものはサブシジョン単独の治療では不十分なことが多く、他の治療法の併用をお勧めします

このようなエッジが目立つニキビ跡にサブシジョン単独で治療を行った場合でも、確かにニキビ跡は浅くなります(治療効果が得られないわけではありません)が、エッジが残るためニキビ跡が浅くなったとしても満足度は決して高くありません。そのため、こうしたエッジが目立つニキビ跡に対しては炭酸ガスレーザーの併用が選択肢になります。

そのため、当院では治療ゴールや許容できるダウンタイムを確認しながら治療方針を相談しています。

サブシジョン後に投与するフィラーについて

フィラーとは、英語ではfillerと表記(fill:満たす、充填する)し、皮膚に注入して不足しているものを補う注入剤です。一般的にフィラーにはヒアルロン酸、コラーゲン、ハイドロキシアパタイトなどがあり、シワの改善やボリュームアップのために用いられます。

サブシジョンは単独で行う方法と、サブシジョン後の剥離した層にフィラーを注入する方法があります。しかし、フィラーを注入することによってサブシジョンで剥離した層を持ち上げると同時に皮膚の再癒着を予防することができますので、当院ではサブシジョン後にフィラーを注入しています。

フィラーとして「ヒアルロン酸」、「ジュベルック」、「脂肪注入」3種類を準備しています。それぞれに特徴がありますが、判断に悩むときは最も基本的なフィラーであるヒアルロン酸をお勧めしています。

その一方で、「ヒアルロン酸が吸収された後にニキビ跡が再発しないのか?」と疑問に感じる方もいると思います。これに対し、「サブシジョンを行った後にヒアルロン酸を注入することで、線維芽細胞が活性化し、コラーゲンが合成され、再発が予防できる」と報告されています。このように専門用語を並べるとそれらしく聞こえるのですが、ヒアルロン酸が吸収されるのは事実であり、長期経過が安定しているかは現在でもよくわかっていません。事実、頻度はまれですが、ヒアルロン酸が吸収される治療後6か月頃に再度陥凹する方がいます。

そこで当院は、長期的に効果が持続して真皮を再構築する効果がある「ジュベルック」、いったん生着すれば半永久的に効果が持続する「脂肪注入」もお受けになることができます。ただし、フィラーの違いが長期的な治療結果に与える影響については論文上の報告はありません。

それぞれのフィラーの特徴は以下の通りです。

ヒアルロン酸

サブシジョン後に用いられるフィラーとして最も一般的なものです。サブシジョンで剥離した層を持ち上げると同時に再癒着を予防します。当院では、シワなどに用いられる一般的なヒアルロン酸ではなく、サブシジョン用の柔らかいものを用いています。

ジュベルック

PDLLAという成分を主成分とし、PDLLAと非架橋ヒアルロン酸を組み合わせたものです。真皮のコラーゲンやエラスチンの生成を促す役割があり、12年ほどかけてゆっくりと水と二酸化炭素に分解され、吸収されていきます。そのため、皮膚の再構築効果を有しつつ、ヒアルロン酸と比べて長期の効果が期待できます(ジュベルックについて詳しくはこちら)

脂肪注入

ヒアルロン酸は半年ほどで吸収されますが、脂肪注入はいったん生着すれば半永久的に効果は持続します。そのため、ヒアルロン酸を注入後に再陥凹した方に適用となります(脂肪を採取する侵襲が加わるため第一選択としていません)。脂肪吸引や脂肪注入の手技や有用性は確立していますが、合併症として以下のことが起こる可能性があります。

感染、皮下出血、腫脹、瘢痕、色素沈着、疼痛、漿液腫、脂肪塞栓、脂肪壊死、知覚低下

ただし、注入に用いる脂肪は12cc程度であり、豊胸などで行う脂肪吸引や脂肪注入よりはるかにリスクは低いと考えられます。脂肪吸引の部位は下腹部、あるいは大腿内側になります。

炭酸ガスレーザーの照射は最小限にすることが重要

ニキビ跡のエッジを取る方法は炭酸ガスレーザーしかありませんが、この治療は「創傷治癒を利用して瘢痕組織の形を変える」ものであるということは重要です。

正常皮膚であれば表皮や真皮浅層まで炭酸ガスレーザーで削ったとしても、表皮や真皮の皮膚付属器から上皮化という機序で創傷治癒が起こるため通常はキズ跡になることはありません(浅い熱傷やキズはキズ跡を残さずに治癒するのと同じです)。逆に、真皮の深層や皮下組織に達すると、上皮化ではなく瘢痕組織を形成して治癒します(深い熱傷やキズはキズ跡になるのと同じです)。

しかし、クレーターは正常皮膚ではなく、治療前からすでに瘢痕組織となっており、瘢痕形成の程度も個人差があります。そのため、浅く削ったとしても必ずしも上皮化するわけではなく、部分的には瘢痕形成を介して創傷治癒が起こります(瘢痕を削ったとしても瘢痕として治癒します)

こうしたことを背景として、炭酸ガスレーザーには一定のリスクと長いダウンタイムが伴います。そのため、ニキビ跡治療において炭酸ガスレーザーによる治療はお受けにならずに済むことが理想です。

しかし、炭酸ガスレーザーを用いないと改善しないニキビ跡も多くあることは事実であり、当院では「最小限」にして炭酸ガスレーザーの照射を行っています。最小限にするとは、「レーザーの適応を厳密に評価する(明らかにエッジがあるもの以外には照射しない)」「レーザーを照射する範囲を最小限にする」2つの意味です。

「レーザーの適応を厳密に評価する(明らかにエッジがあるもの以外には照射しない)」のは当然として、「レーザーを照射する範囲を最小限にする」のはどのような意味か解説します。上皮化は表皮や真皮の皮膚付属器から起こりますが、ニキビ跡は瘢痕形成が起きているため正常皮膚よりも上皮化が非常に起こりにくく、広く削るほど表皮や真皮の付属器が損傷され、創傷治癒のきっかけとなる組織が減少します(つまり、瘢痕形成するリスクが高くなります)。そのため、表皮や真皮の皮膚付属器を最大限温存することが重要です(ただし、単に浅く削り、エッジが残存すると治療効果が乏しくなり、何のために治療したのかわからなくなります)。

さらに、当院では創傷治癒に関与する細胞の増殖や遊走(創傷部位に移動すること)する力を高めるフィブラストスプレーや厳密な湿潤療法を行うことで最大限の創傷治癒を促しています(ただし、創傷治癒は部位、血流、体質、元の瘢痕形成の度合い、アフターケアの方法、感染の有無などによって左右されますので、この方法だと瘢痕形成が起こらないということではありません)

このような医学的背景から、当院は「拡大鏡を用いて緻密にエッジを削りつつ、上皮化に関与する組織を最大限温存する。さらに念入りのサブシジョンと厳密なアフターケアを行うことで治療効果を最大化する」という方針です。炭酸ガスレーザーの照射中に「ここも、ここも」とレーザーの照射範囲を指定してくる方がいますが、(ご希望はお伺いしますが)ダウンタイムとリスクを伴いますので必ずしもご希望の範囲全てを照射するわけではないことをご了承ください。また、下記の合併症が生じる可能性もありますので治療をお受けになる前にご一読ください。

・腫れ、内出血:軽度のものを含めたら必ず起こります。軽快するまで13週間ほどかかります。

・感染:ごく稀ですがサブシジョンを行った範囲に起こることがあり、洗浄などの処置が必要となることがあります。

・肥厚性瘢痕、ケロイド:炭酸ガスレーザーを照射した部位やサブシジョンの針孔に生じることがあります。その場合、ステロイドの注射などの追加治療が必要になることがあります。いったん生じると追加治療を行っても皮膚の赤みや硬さとして残存することがあります。

・線状瘢痕:サブシジョンでは針を用いて皮膚の下を剥離します。針を用いて線状に剥離することにより、まれに線状に皮膚が盛り上がることがあります。

・陥凹の残存:全く陥凹がない状態まで改善することもありますが、多くの場合、多少の陥凹は残ります。頻度は高くありませんが、治療効果を全く実感できないこともあります。また、施術後半年~1年ほどで陥凹が再発することがあります。

・赤み:炎症や創傷治癒過程の結果として必ず赤みが起こります。多くの方は312ヵ月程度で軽快しますが、赤みが持続することもあります。持続するときはVbeamなどによる治療を行いますが、完全に赤みが消えないこともあります(入浴後に赤みが出現するなど)

・皮膚の質感や色調の変化:クレーターやその周囲は瘢痕組織であり、陥凹が改善したとしても正常皮膚との質感や色調の差は必ず残ります。瘢痕組織を正常皮膚に戻す方法はないため、正常皮膚と同じ質感や色調にすることは現代医学では不可能です。

・皮膚の硬結:治癒過程で創傷部位は固くなりますので一時的な皮膚の硬結が必ず起こります。自然軽快することがほとんどですが、施術部位の一部に硬結が残ることがあります。また、投与したヒアルロン酸によって硬結を生じることがあります。

・炎症後色素沈着:炎症によって炭酸ガスレーザー照射部に色素沈着が起こることがあります。ほとんどの方は半年~1年ほどで軽快します。

・色素脱失:炭酸ガスレーザー照射部位の皮膚が白っぽい状態になることがあります。特別な治療法はなく、数年かけて自然軽快することが多いため経過観察を行いますが、完全に改善しないこともあります。

・顔面神経側頭枝の損傷:これまで発生例はありませんが、こめかみのサブシジョンで起こる可能性があります。表情の左右差や眼瞼下垂が生じます。

・知覚低下:サブシジョンを行った部位の知覚が一時的に低下することがありますが、ほとんどの場合、半年ほどで軽快します。

・局所麻酔のアレルギー反応、アナフィラキシーショック、局所麻酔薬中毒

「サブシジョン+炭酸ガスレーザー」治療後の一般的な経過

エッジがあるニキビ跡に対する炭酸ガスレーザーによる治療後のアフターケアは治療結果を大きく左右するほど重要であり、アフターケアをおろそかにすると良い治療結果になりません(目立つ瘢痕や陥凹して治癒するリスクが高くなります)

ただし、治療後の経過やアフターケアは術前の状態や施術の部位によって変わりますし、個人差も大きいです。また、クリニックごとに考えも異なりますので、必ず担当医に確認してください。また、下記の経過を保証しているわけではありませんので、おおよその目安として参考にしてください。 

➀施術当日

施術直後から腫れと内出血が目立ちます(内出血は軽度のこともありますが、腫れはほぼ必ず出現します)

・滲出液が多く、ガーゼの上層まで黄色の液が見られることがあります。サブシジョンの針孔から血がにじむことがありますが、多くの場合心配する必要はありません。

・炭酸ガスレーザーの照射部位(以下、キズ)は洗顔しないようにしてください。キズ以外の範囲の洗顔は可能です。

 ②施術翌日

施術当日よりも腫れや内出血が目立ちます。多くの方は、この日が腫れのピークです(内出血のピークの時期は個人差があります)

・キズを「清潔に保つこと」と「乾燥させないこと」が重要であり、ヒリヒリすることがありますが洗顔と指示されたケアをしてください(泡立てた石鹸や洗顔料で優しく洗ってください)

・軟膏は塗布しすぎて悪いことはありませんので少しべとべとするくらいで構いません。軟膏が少ないと、乾燥やキズにガーゼが貼り付く原因になります。また、かさぶたの原因となり、創傷治癒の妨げとなることがあります(かさぶたはできないことが理想です)。

・まだ滲出液が多いため、キズパワーパッドなどの創傷被覆材を使用することはお勧めしません(使用するとしても翌日に洗顔と交換をお願いします)

 ③施術2日~1週間

・まだ腫れや内出血は目立ちますが徐々に軽快していきます。

・引き続きキズを含めて洗顔とケアをしてください(軟膏を洗い流すように泡立てた石鹸や洗顔料で優しく洗ってください)

 ④施術1~2週間後

・腫れや内出血が改善していきます。

・引き続きキズの「清潔」と「乾燥させない」を徹底してください。

キズが治癒(上皮化)したら化粧水、乳液、日焼け止め、化粧を使っていただいて構いません。ただし、「キズが治癒した」と判断することは難しいことがありますので、施術後2週間はアフターケアを行うことが無難です。

キズが治癒後も「こすらないこと」と「日焼けをしないこと」を意識してください

 ⑤施術1ヵ月後

多くの方は、キズの赤みが強く残っています

・キズの部分はピンク色だったり、やや白みがかっていることもあります。これは施術前の状態やキズの深さによって傷が治る過程が異なるために起こります。

アイスピック型やローリング型を治療した部分は陥凹していることがあります。そのため、皮膚の赤みと陥凹により不安を感じやすい時期です(ときに治療前より悪化したと感じることもあります)。創傷治癒が進んでいる過程であり、時間経過で改善しますので過度に心配しないようにしてください。

・引き続き「こすらないこと」と「日焼けをしないこと」を徹底して下さい

 ⑥施術3~12ヵ月後

赤みが改善し、創傷治癒が進むにつれて陥凹がゆっくり改善していきます

ニキビ跡の治療限界について

繰り返しになりますが、ニキビ跡(クレーター)は繰り返す炎症によって組織が収縮して皮膚が陥凹すること、正常皮膚が瘢痕組織に置き換わることによって生じます。そのため、理想的なニキビ跡治療は①収縮した組織を再生させ、②瘢痕組織を正常皮膚に戻すことになります。しかし、本当にそのような治療は存在するのでしょうか?

答えはお分かりだと思いますが、現代医学ではそのような方法は確立していません。もし収縮した組織を再生させ、瘢痕組織を正常皮膚に戻すことができるならこの世からキズ跡というものがなくなります。熱傷(やけど)やケガの瘢痕や拘縮、ケロイド、妊娠線、水痘(みずぼうそう)の跡などで悩む方はいなくなりますし、手術もキズ跡を残さずにできるようになります。しかし、現実はそのようになっていません。つまり、現代医学ではニキビ跡を完治させることは不可能であり、「いかにニキビ跡を目立たせなくするか」というアプローチをしています(このように記載するとがっかりする方もいると思いますが、専門の医師が治療すれば改善が期待できますのでご安心ください)。

「サブシジョン+炭酸ガスレーザー」では以下のアプローチによってニキビ跡を目立たせなくすることができます。

①収縮した組織を再生させることはできない→サブシジョンで瘢痕組織を切り離し、切り離したところにフィラーを注入することで不足している組織を追加する→ニキビ跡を浅くする

②瘢痕組織を正常皮膚に戻すことはできない→炭酸ガスレーザーでニキビ跡のエッジを削る→瘢痕組織の形を変えることで「ニキビ跡っぽさ」を改善させる

つまり、「サブシジョン+炭酸ガスレーザー」は理想的なニキビ跡治療ではありませんが、エッジのある深いニキビ跡に対して現代医学で妥当なニキビ跡治療であると考えます。再生医療によって「ニキビ跡が正常皮膚に戻る」ような理想的な治療が実用化されることが期待されますが、それは近い将来というわけではなさそうです。

瘢痕組織を正常皮膚に戻す方法はないため、ニキビ跡の陥凹が改善したとしても正常皮膚との質感や色調の差は必ず残ることをご了承ください。

鼻のニキビ跡治療は難しい

これまでクレーターの治療は以下の2つのアプローチが原則であることを説明しました。

①皮膚の再構築を促す治療

②深部の瘢痕を解除する治療

しかし、鼻のクレーターを治療する上で最大の問題点が「深部の瘢痕を解除する治療の効果が限定的である」ことです。端的に表現すると、鼻はサブシジョンの効果が劣ります

この理由として以下のようなことが考えられます。

・鼻(特に鼻尖と鼻翼)の皮膚は厚く、硬いため深部の瘢痕を切離しても陥凹の改善が得られにくい(特にアジア人はこの傾向がある)

・鼻にもSMASに類似した構造物(専門的にはsuperficial fatty layerとfibromuscular layer)があるが、真皮とSMASが連続しているため、鼻のクレーターは深部の瘢痕よりも皮膚の収縮(正常皮膚が瘢痕組織に置き換わる)が寄与する割合が高い

そのため、鼻のクレーターを治療する際には、「皮膚の再構築を促す治療の重要性が高い」ということになります。しかし、皮膚の再構築を促す治療は、あえて皮膚に損傷を加え、創傷治癒を促すことで陥凹の改善を期待するものであり、創傷治癒は多くの因子に左右されるため不確実な要素が高くなります。つまり、鼻のクレーターの治療の難しさは「創傷治癒という不確実性があるものに依存する」、これに尽きると思います。

さらに、鼻に限った話ではありませんが、クレーターを治療する上で忘れてはいけないことは、「陥凹瘢痕は正常皮膚ではなく瘢痕組織である」ということです。クレーターは単に凹んでいるだけではなく、過去のニキビ、水痘、外傷、手術などの影響で瘢痕組織になっており(正常皮膚ではない)、その程度もさまざまです(正常皮膚に近いものもあれば、硬い瘢痕組織もあります)。なぜ瘢痕組織だと問題かというと、大雑把にいうと「瘢痕組織を損傷して創傷治癒を引き起こしても再度瘢痕組織になるから」です。つまり、上記の治療を正常皮膚に行うのとクレーターに行うのでは治療効果が全く異なります(当然、正常皮膚の方が効果は高いです)。

そのため、鼻のクレーター治療では創傷治癒を促すための治療およびアフターケアが必須となります。

顔は曲面である

「顔は曲面である」

何を当たり前のことを言っているんだ、と思った方もいると思います。しかし、ニキビ跡に悩む方には知ってもらいたいことでもあります。

実はこのことを正しく認識している医師と認識していない医師では治療結果に大きな違いがあるのです。炭酸ガスレーザーによる治療を受けてもニキビ跡が改善しなかったと感じたことがある方は、このことが原因かもしれません。

以下の画像をご覧ください。

右こめかみのニキビ跡の画像ですが、赤丸で囲った部位が目立っている気がしませんか?実は、一見同じように見えるニキビ跡でも「目立つもの」として認識されやすいものがあるのです。

最初に述べたように顔は平面ではなく曲面であり、当然ですが下の画像のように顔の輪郭は側面に行くほど後方に回ります。

私達は無意識下に顔を曲面であると認識しており、この形態から外れた状態に違和感を感じます。

そのため、下の図のように平坦なニキビ跡や顔の中央側が陥凹したニキビ跡は、輪郭に沿って陥凹しているように見えるため、比較的目立ちにくいです(もちろんこうしたニキビ跡も「炭酸ガスレーザー+ヒアルロン酸 or 脂肪注入+サブシジョン」で最大限目立たせなくすることができます)。

しかし、下の図のように顔の外側が陥凹するようなニキビ跡は、輪郭に沿っていないため外側のエッジが突出して見え、正面から見た際(自分で鏡を見た際)に目立つものとして認識されます。最初に述べた赤丸のニキビ跡はこのように外側が突出しているように見えるため目立っているように感じたのです。

そのため、こうした外側のエッジが目立つニキビ跡に対しては輪郭の形態を確認しながら、下図のように炭酸ガスレーザーで処置をしています。

しかし、実際にはニキビ跡は数十個あることが多いため、話はこの図のように単純ではありません。

つまり、ニキビ跡に対する炭酸ガスレーザーは単にエッジを削るのみではなく、輪郭や他のニキビ跡の形などのバランスを見ながら行う必要があり、「0.1mm単位でのこだわり」が必要だと考えます。

炭酸ガスレーザー後にフィブラストスプレーを使う意義

フィブラストスプレーとは、塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor)を含む製剤であり、線維芽細胞や血管内皮細胞などのキズの治癒に関係する細胞の力(増殖能、遊走能)を高め、血管新生や肉芽形成を促進する作用があります。その結果、キズが治癒するまでの期間を短縮することができ、褥瘡と皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、下腿潰瘍など)に対して保険適用となっています。

また、単にキズを早く治癒させるだけではなく、瘢痕組織の質を改善させることもできます。具体的には、瘢痕組織が柔らかくなること、色素沈着が少なくなること、肥厚性瘢痕になるリスクを下げること、などが挙げられます。つまり、瘢痕組織を形成するような深い(特に真皮深層より深い)キズに対しては、フィブラストスプレーを用いることでキズが目立ちにくく治る可能性があります。

通常、瘢痕形成が起こるほど炭酸ガスレーザーで正常皮膚を深く削ることは少なく、フィブラストスプレーを用いることはまずありません。しかし、ニキビ跡は繰り返す炎症によって正常皮膚がもともと瘢痕組織に置き換わっています(瘢痕形成の程度の個人差はあります)。結果として、ニキビ跡に対して炭酸ガスレーザーを照射するということは、部分的に瘢痕組織を蒸散しているため、削った部分は部分的に瘢痕を形成して治癒しています。そのため、瘢痕形成の強いニキビ跡に対する炭酸ガスレーザー照射後にフィブラストスプレーを使うことで、キズを早く治癒させる効果と目立ちにくく治る効果が期待できます。実際、アイスピック型のニキビ跡に対して、フィブラストスプレーを使用することでニキビ跡の著明な改善があったとする論文があります(J Dermatol, 2018)。

以前は、ニキビ跡に対する炭酸ガスレーザー治療後にフィブラストスプレーを使う意義は不明であると考えていましたが、多くの方を治療する中で、どれほど丁寧に治療をしても瘢痕形成が強いニキビ跡(特にローリング型とアイスピック型)には治療限界があることがわかりました。そのため、当院では瘢痕形成が強いニキビ跡の治療後にフィブラストスプレーを用いています。

ただし、フィブラストスプレーを用いたとしても、キズの湿潤環境を維持するために軟膏や創傷被覆材の併用は必須であり、キズが治癒したらフィブラストスプレーの使用を終了してください(治療後2週間が目安)。また、絶対に皮膚に注入して使用しないでください。

投与部位に悪性腫瘍や過敏症の既往がある方は用いることができません。

どうしてもダーマペン、フラクショナルレーザー、ポテンツァで治療をしたい方に

クレーターは、深部にある瘢痕を解除する治療」と「皮膚の再構築を促す治療」を組み合わせることが重要であることを繰り返し述べてきました。

ダウンタイムの短さからダーマペン、フラクショナルレーザー、ポテンツァで皮膚の再構築を促す治療をしたい方もいると思います。こうした治療は全く効果がないと主張しているわけではなく、組織の収縮と皮膚の瘢痕形成が小さいボックスカー型では効果を実感できるほどの皮膚の再構築が起こる可能性はあります(正常皮膚の質感の改善も期待できます)。あくまで「組織の収縮や瘢痕形成の度合い」と「治療による皮膚の再構築効果」のバランスの問題です。

ただし、こうした治療は高額の費用と時間を費やすほどの期待値の高いものではないと考えます。そのため、3回(多くても5回)受けても効果を全く実感できないときは、他の治療法を検討することをお勧めします。

費用

サブシジョン+ヒアルロン酸

4cm²未満 44,000円
4~10cm² (片頬の半分、片こめかみなど) 66,000円
10~20cm² (片頬、両こめかみなど) 88,000円
20~40cm² (両頬、片頬+両こめかみ、両こめかみ+前額、両こめかみ+下顎など) 168,000円
40~60cm² (両頬+両こめかみなど) 248,000円

治療範囲に関わらずジュベルックを用いるときは+33,000円、脂肪注入を用いるときは+110,000円(麻酔代・脂肪吸引費込み)になります

サブシジョン+ヒアルロン酸+炭酸ガスレーザー(フィブラストスプレー1本込み)

4cm²未満 77,000円
4~10cm² (片頬の半分、片こめかみなど) 121,000円
10~20cm² (片頬、両こめかみなど) 176,000円
20~40cm² (両頬、片頬+両こめかみ、両こめかみ+前額、両こめかみ+下顎など) 320,000円
40~60cm² (両頬+両こめかみなど) 420,000円

治療範囲に関わらずジュベルックを用いるときは+33,000円、脂肪注入を用いるときは+110,000円(麻酔代・脂肪吸引費込み)になります

フィブラストスプレー【創傷治癒の促進、瘢痕の質の改善】

1本 22,000円

※炭酸ガスレーザー単独の費用設定はありません。

水光注射(ダーマシャインプロ)

ジュベルック 全顔 1回 35,000円
3回 87,500円
頬のみ 1回 17,500円
リジュランi、リジュランHB 全顔 1回 42,000円
3回 10,5000円
プルリアルデンシファイ 全顔 1回 68,000円
3回 170,000円

症例PICK UP

症例1

術式:サブシジョン+ヒアルロン酸

施術回数は1回です。

合併症:内出血、腫れ、赤み、針孔のケロイド、知覚低下、陥凹の再発、色素沈着、硬結(しこり)など

費用:168,000円

手術内容:両頬部全体に局所麻酔を注入し、鈍針を用いてニキビ跡の原因となっている瘢痕組織を切離しました。切離した範囲にヒアルロン酸を注入しています。

症例2

術式:サブシジョン+ヒアルロン酸

施術回数は1回です。

合併症:内出血、腫れ、赤み、針孔のケロイド、知覚低下、陥凹の再発、色素沈着、硬結(しこり)など

費用:88,000円

手術内容:左頬部全体に局所麻酔を注入し、鈍針を用いてニキビ跡の原因となっている瘢痕組織を切離しました。切離した範囲にヒアルロン酸を注入しています。

症例3

術式:サブシジョン+ヒアルロン酸

施術回数は2回です。

合併症:内出血、腫れ、赤み、針孔のケロイド、知覚低下、陥凹の再発、色素沈着、硬結(しこり)など

費用:168,000円

手術内容:両頬部全体に局所麻酔を注入し、鈍針を用いてニキビ跡の原因となっている瘢痕組織を切離しました。切離した範囲にヒアルロン酸を注入しています。

症例4

術式:サブシジョン+ヒアルロン酸+炭酸ガスレーザー

施術回数は2回です。

合併症:内出血、腫れ、赤み、肥厚性瘢痕・ケロイド、知覚低下、陥凹の再発、炎症後色素沈着、硬結(しこり)、皮膚の質感の変化、色素脱失、顔面神経側頭枝の損傷、局所麻酔のアレルギーなど

費用:352,000円

手術内容:局所麻酔後に両頬部のエッジが目立つ部位に炭酸ガスレーザーの照射を行いました。さらに、鈍針を用いてニキビ跡の原因となっている瘢痕組織を切離しました。切離した範囲にヒアルロン酸を注入しています。

症例5

術式:サブシジョン+ヒアルロン酸+炭酸ガスレーザー

施術回数は1回です。

合併症:内出血、腫れ、赤み、肥厚性瘢痕・ケロイド、知覚低下、陥凹の再発、炎症後色素沈着、硬結(しこり)、皮膚の質感の変化、色素脱失、顔面神経側頭枝の損傷、局所麻酔のアレルギーなど

費用:121,000円

手術内容:局所麻酔後に両頬部のエッジが目立つ部位に炭酸ガスレーザーの照射を行いました。さらに、鈍針を用いてニキビ跡の原因となっている瘢痕組織を切離しました。切離した範囲にヒアルロン酸を注入しています。

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