サブシジョン
サブシジョン
サブシジョンとは、皮膚の下(正確には真皮とSMASという筋膜の間)の瘢痕組織を切ることによって皮膚が引き込まれた状態を改善させる治療法です。局所麻酔を行った後に、サブシジョン用の針で瘢痕組織を剥がし、キズが治る力を利用して凹みをなだらかにします。単に癒着を剥がしただけでは再度癒着するため、ヒアルロン酸や脂肪注入を行うことで再癒着を予防します。サブシジョンは聞きなれない言葉かもしれませんが、1995年にDermatologic Surgeryという有名な医学雑誌に報告されて以来、世界中で行われている治療法です。
ニキビ跡(クレーター)や水痘(みずぼうそう)の跡、陥凹瘢痕(落ち込んだキズ跡)に対して行われます。ニキビ跡(クレーター)の項目で、詳しく説明していますが、ニキビ跡の治療は基本的に2つしかありません。それは、「表皮や真皮からの皮膚の再構築を促す治療」と「ニキビ跡の深部にある瘢痕を解除する治療」です。「表皮や真皮からの皮膚の再構築を促す治療」には炭酸ガスレーザー、ダーマペン、フラクショナルレーザー、ポテンツァ、TCAクロスなどがありますが、「ニキビ跡の深部にある瘢痕を解除する方法」はサブシジョンしかありません。一般的にはローリング型にニキビ跡に適応とされていますが、アイスピック型やボックスカー型も皮膚の下の瘢痕があるため、サブシジョンは全てのタイプのニキビ跡に適応になります。
サブシジョンは特にこめかみ、頬、フェイスラインに有効です。ただし、こめかみには顔面神経側頭枝という重要な神経が走行しているため、神経を損傷しない範囲で行います。鼻に対する治療効果は限定的であり、原則としてサブシジョンは鼻には行いません。
炭酸ガスによってサブシジョンを行う医療機器もありますが、針を用いても切ることが困難であるほどの硬い瘢痕もしばしばあるため、炭酸ガスによるサブシジョンは針によるサブシジョンより圧倒的に効果が劣ります。針によるサブシジョンは腫れと内出血などのダウンタイムはありますが、高い治療効果を求める方に向いている方法と言えます。
サブシジョンは単独で行う方法と、サブシジョン後にヒアルロン酸などを注入する方法がありますが、ヒアルロン酸や脂肪注入を行わないとすぐに陥凹が再発するためヒアルロン酸や脂肪注入は必須です。そのため、当院ではサブシジョンのみの治療選択肢は提案していません。
脂肪注入は、脂肪を他部位から採取する必要があるため、手術侵襲が大きくなります。そのため、ヒアルロン酸が第一選択となります。
その一方で、「ヒアルロン酸が吸収された後にニキビ跡が再発しないのか?」と疑問に感じる方もいると思います。これに対し、「サブシジョンを行った後にヒアルロン酸を注入することで、線維芽細胞が活性化し、コラーゲンが合成され、再発が予防できる」と論文では報告されています。このように専門用語を並べるとそれらしく聞こえるのですが、ヒアルロン酸が吸収されるのは事実であり、長期経過が安定しているかは現在でもよくわかっていません。事実、ヒアルロン酸が吸収される施術後6か月頃に再度陥凹する方がいます(頻度はまれです)。
そこで、当院はヒアルロン酸で再発したニキビ跡に対して、サブシジョン後に脂肪注入を行う治療を行っています。脂肪吸引や脂肪注入の手技や有用性は確立していますが、合併症として以下のことが起こる可能性があります。
感染、皮下出血、腫脹、瘢痕、色素沈着、疼痛、漿液腫、脂肪塞栓、脂肪壊死、知覚低下
ただし、注入に用いる脂肪は1~2cc程度であり、豊胸などで行う脂肪吸引や脂肪注入よりはるかにリスクは低いと考えられます。脂肪吸引の部位は下腹部、あるいは大腿内側になります。
サブシジョンは3回以上受けないと効果が実感できないと言われることもあるようですが、適切な手技を行えば多くの方は1回の施術で効果を実感できます。1回の施術で全く効果が出ないときは、サブシジョンの効果が現れるほどの瘢痕形成がないことが考えられるため治療方針の見直しを行います。ただし、1回目の施術で効果を実感でき、さらなる治療効果を得たいときは複数回の治療を受けることをお勧めします。
つまり、サブシジョンの効果は1回ごとに評価し、次の施術を行うか検討することが重要です。
サブシジョンは多くのクリニックで行われるようになっていますが、どこのクリニックで治療を受けても治療効果は同じなのでしょうか?これはクリニックによって効果は全く違うと考えてもらっていいと思います。サブシジョンの手技自体は単純なものですが、治療適応の評価、瘢痕を切る深さ、瘢痕を切る方向、用いる針やヒアルロン酸などによって治療効果は大きく変わります。端的に表現すると、医師がどこまでこだわって治療をするかで治療結果は変わります。
当院では、先が鈍い針(鈍針)を用いています。かつては世界的に鋭針という先の尖った針を用いることが主流でしたが、腫れや出血が強いため徐々に使われる頻度が減ってきました。鈍針を用いることで組織の損傷や出血を最小限にしつつ、必要な部位を中心に瘢痕を効果的に切ることができます。
ヒアルロン酸はシワなどの改善に用いる一般的なものではなく、サブシジョン用の柔らかいものを用いており、落ち込んだキズ跡を持ち上げると同時に、再度皮膚が再癒着することを防ぎます。
・内出血、腫れ、赤み:軽度のものを含めたら全員に起こります。1~2週間ほどで軽快します。
・針孔のケロイド、知覚低下、陥凹の再発、色素沈着、硬結(しこり)
洗顔、入浴は当日から可能です。
翌日から針孔以外の範囲の化粧をできますが、針孔には3日間のワセリン塗布をお願いします。その後は針孔も含めて化粧をすることができます。
ニキビ跡のなどの治療ではサブシジョンで瘢痕を切る治療と同時に「皮膚の再構築を促す治療」を併用すると効果が高くなります。そのため、
皮膚に含まれる水分に反応して組織を蒸散させるレーザーです。ニキビ跡の表面に照射することで、皮膚の表面の組織を蒸散させ、皮膚の再生を促します。さらに、ニキビ跡の角(エッジ)を削ることにより平坦なキズにすることで「ニキビ跡っぽさ」を改善させることができます。当院では、拡大鏡下に炭酸ガスレーザーを照射しており、0.1mmの違いにこだわり極限までニキビ跡を目立たせなくすることに取り組んでいます
照射した部位はごく浅いキズになりますので、2週間の軟膏処置が必要になります。この2週間のアフターケアは治療結果を左右するため厳密に行っていただきます。その後、3か月間(2~9ヵ月間)ほど赤みが続きますが、徐々に軽快していきます。
フラクショナルレーザーは、皮膚表面にごく小さな点状の穴を多数あけ、そこから皮膚の再構築を期待するレーザーです。施術前に麻酔クリームを塗布しますので、痛みはそれほどありません。当院はルートロニック社のeCO2 Evolutionを用いており、レーザー照射径・エネルギー・照射密度などを最適化しながら治療を行います。
ダウンタイムが短い治療を希望する方に向いている治療法です。
4cm²未満 | 44,000円 |
4~10cm² (片頬の半分、片こめかみなど) | 66,000円 |
10~20cm² (片頬、両こめかみなど) | 88,000円 |
20~40cm² (両頬、片頬+両こめかみ、両こめかみ+前額、両こめかみ+下顎など) | 168,000円 |
40~60cm² (両頬+両こめかみなど) | 248,000円 |
4cm²未満 | 77,000円 |
4~10cm² (片頬の半分、片こめかみなど) | 121,000円 |
10~20cm² (片頬、両こめかみなど) | 176,000円 |
20~40cm² (両頬、片頬+両こめかみ、両こめかみ+前額、両こめかみ+下顎など) | 320,000円 |
40~60cm² (両頬+両こめかみなど) | 420,000円 |
4cm²未満 | 143,000円 |
4~10cm² (片頬の半分、片こめかみなど) | 220,000円 |
10~20cm² (片頬、両こめかみなど) | 297,000円 |
20~40cm² (両頬、片頬+両こめかみ、両こめかみ+前額、両こめかみ+下顎など) | 420,000円 |
40~60cm² (両頬+両こめかみなど) | 520,000円 |
1本 | 22,000円 |
施術内容:サブシジョン+ヒアルロン酸
施術回数は1回です。
合併症:内出血、腫れ、赤み、針孔のケロイド、知覚低下、陥凹の再発、色素沈着、硬結(しこり)
費用:168,000円