色素性母斑(ホクロ)
色素性母斑(ホクロ)
色素性母斑は良性腫瘍の一種で、いわゆるホクロのことです。母斑細胞というメラニンを作る細胞が皮膚で増殖した状態であり、母斑細胞母斑と呼ばれることもあります。
色素性母斑がない人はほとんどいないと言えるほどありふれた疾患の1つですが、未だに原因はわかっていません。遺伝や体質が関与しているとされています。
隆起したもの、平らなもの、毛が生えているものなど、さまざまな形があります。ほとんどが1~3mm程度の大きさですが、ゆっくりと大きくなることがあります。
治療方針を決める際に最も重要なことは良性と悪性を鑑別することです。肉眼のみでは良性と悪性の鑑別は難しいことがあるため、ダーモスコピーと呼ばれる拡大鏡を用いて診断します。
良性と診断したときは手術やレーザーで治療を行いますが、当院ではどちらの治療も行うことができますので、部位や大きさなどに合わせて最善の治療法を提案します。
しかし、実際には、どれほど経験を積んだ医師でも診断に悩むことがあります。レーザーを行うと組織が蒸散してしまうため、病理組織学的な検査を行うことができません。そのため、万が一にでも悪性腫瘍を見逃すことがないように、診断が確定できないときは手術や生検を行い、病理組織学的な評価を行います。
皮膚を紡錘形に切除し、色素性母斑を取り除きます。極力目立たない瘢痕になるように髪の毛より細い糸を用いて形成外科の手技で丁寧に縫合します。手術後1週間で抜糸を行い(手掌・足底・関節部などは2~3週間後の抜糸です)、その後はテーピングを3~6か月間行います。テーピングの詳しい方法は抜糸の際に説明します。
手術時間は5~20分ほどで、保険適用の治療法です。手術後に再発することはほとんどありません。大きい色素性母斑の場合は分割切除術(serial excision)という複数回に分けて切除する方法を行います。
大きい皮膚腫瘍(色素性母斑以外も含む)を切除するときに1度で切除すると瘢痕が長くなります。また、創縁の緊張が強くなり、広がった(目立つ)キズ跡になるリスクが高くなります。そのため、2回、あるいは3回に分割して切除することにより、キズ跡を小さく、目立たせないようにする手術法です。
1回目の手術では、キズが広がらない、かつ2回目の手術がしやすいように切除縫合します。2回目の手術では、キズ跡が最大限きれいになるように切除縫合します。目的に合わせてそれぞれの手術で縫合法を変えます。
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)という組織を蒸散させるレーザーを用います。簡単に言うと、色素性母斑を削るイメージです。レーザーを照射した部分はキズとなるため、軟膏とテープによる処置が2~3週間必要になります。3~6か月間は赤みとくぼみがありますが、徐々に目立たなくなります。
治療時間は数分程度です。レーザーは保険適応外の自由診療となります。レーザーによる治療では、10個に1個程度の割合で色素性母斑が再発します。再発しないようにするには深く削ればいいのですが、それではきれいに治すことができません。きれいに治るように最大限の配慮を行いながら治療をしておりますので、再発のリスクをゼロにすることはできないことをご了承ください。
※手術費用の他に、診察料、病理検査料などがかかかります。
項目 | 料金 |
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露出部(2cm未満) | 約5,000円(3割負担) 約1,700円(1割負担) |
露出部(2~4cm) | 約11,000円(3割負担) 約3,700円(1割負担) |
露出部(4cm以上) | 約15,000円(3割負担) 約5,000円(1割負担) |
露出部以外(3cm未満) | 約3,800円(3割負担) 約1,300円(1割負担) |
露出部以外(3~6cm) | 約9,700円(3割負担) 約3,200円(1割負担) |
露出部以外(6~12cm) | 約12,500円(3割負担) 約4,200円(1割負担) |
露出部以外(12cm以上) | 約25,000円(3割負担) 約8,300円(1割負担) |
項目 | 料金 |
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3mm未満 | 11,000円 |
3~5mm | 16,500円 |
5~10mm | 22,000円 |
10~15mm | 33,000円 |
15~20mm | 44,000円 |
20~30mm | 55,000円 |
全顔 | 110,000円 |
首 | 110,000円 |
例:1mmの脂漏性角化症と1.5mmの色素性母斑の治療費は2つ(合計2.5mm)で11,000円、5mmの色素性母斑と2mmの脂腺増殖症と1mmの稗粒腫の治療費は3つ(合計9mm)で22,000円となります。