片側の眼瞼下垂の治療を受けると反対側が下がることがあるのはなぜ? -Hering現象について-
- 2026年9月18日
- 眼瞼下垂
片側のみ、あるいは片側優位の眼瞼下垂の治療を受ける方にとって大切な話です。
原則として左右の眼瞼挙筋は同程度の神経支配がされており、脳は「左右のまぶたを同じ程度開く」ように眼瞼挙筋に指示をしています。
しかし、例えば、右に重度の眼瞼下垂、左に軽度の眼瞼下垂がある方について考えてみます。右に重度の眼瞼下垂があるため、右のまぶたは上げづらく、脳は「まぶたを上げろ」という指示を出し、右のまぶたを上げようとします(ただし、腱膜性眼瞼下垂では瞼板と挙筋腱膜の結合が緩んでいるため正常の高さまでは上がりません)。すると、軽度の眼瞼下垂である左のまぶたにも同じ強さの指示が入ります。その結果として、本来は軽度の眼瞼下垂があるはずの左は一見正常(あるいは過開瞼)のように見えることがあります。そして、多くの場合、このことは術前に本人も自覚していません(右のみの眼瞼下垂だと思っています)。
ここで、右のみ眼瞼下垂手術を受けて右のまぶたが十分に開くようになると、脳の「まぶたを上げろ」という指示が減少します。すると「右の手術を受けたら、これまで正常(に見えていた)だった左が眼瞼下垂になった」という現象が生じます。これがHering現象です。
つまり、片側のみの眼瞼下垂に見えたとしても、実際には両側性の眼瞼下垂であり、一方が代償性に開いているということがあります。手術前の診察でHering現象が生じるかをある程度は予測することができますが、手術後の状態を完全に予測することはできません。そのため、片側の眼瞼下垂手術を受け、もう一方がHering現象によって下がってしまったときは、後日追加で下がってしまった方の眼瞼下垂手術を行うことがあります。


監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長
皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。
皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。