なぜピコ秒ルビーレーザーがないのか?
- 2026年11月6日
- レーザー治療
QスイッチYAGレーザー、ピコ秒YAGレーザー、Qスイッチアレキサンドライトレーザー、ピコ秒アレキサンドライトレーザー、Qスイッチルビーレーザーという言葉を聞いたことがあると思います。しかし、「ピコ秒ルビーレーザー」という言葉を聞いたことがある人はほとんどいないと思います。なぜ「ピコ秒ルビーレーザー」は一般的に用いられないのでしょうか?
ルビーレーザーの媒質(外部からエネルギーを受け取り、光を増幅する物質)は、クロムイオン(Cr3+)を添加した酸化アルミニウム(ルビー)です。このルビーには「光のエネルギーを貯めるのは得意だけど、それを一瞬で(短いパルス幅で)強い光として取り出すには不利な性質」があります。例えるなら、ルビーは、水をたくさん貯めておける大きなタンクのようなものです。しかし、大きなタンクであっても、必ずしも水を一瞬で噴射できるわけではありません。ルビーはQスイッチによってナノ秒単位で放出することには適していますが、さらに短いピコ秒で放出することには適していません。

さらに、レーザー媒質には光を増幅できる周波数の範囲があり、これを「利得帯域」といいます。ピコレーザーのような短いパルス幅のレーザーを発生させるには、一般的に広い利得帯域が必要であり、広い周波数の光を組み合わせる必要があります。これも例えるなら、たくさんの異なる音を上手く組み合わせて、一瞬の鋭い音を作るようなイメージです。しかし、ルビーは光を増幅できる周波数の範囲が比較的狭いため、ピコレーザーを作るには不利になります。

他にもいくつかの物理的理由があることに加え、比較的波長の近いアレキサンドライトレーザー(755nm)の方がピコ秒レーザーに適していることなどから、ピコ秒ルビーレーザーは実用化されていません。
監修 クリニックひいらぎ皮膚科形成外科
当院は、皮膚・体表の病気に対する「日帰り手術」「レーザー治療」を専門的に行うクリニックです。
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