時間はかかりますが、イボ(尋常性疣贅)はほぼ必ず治ります
- 2023年8月6日
- 皮膚科
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科の藤木政英です。
イボ(尋常性疣贅)がなかなか治らないことで困っている方も多くいると思います。「1年間通院したけど治らなかった」「液体窒素を当てるだけで他に何もしてくれなかった」「治らないと思って途中で治療を諦めた」というお話を伺うことがあります。尋常性疣贅があっても痛くないし、生活に困ることも少ないので、治療が嫌になる気持ちはよくわかります。しかし、時間はかかりますが尋常性疣贅はほぼ必ず治りますので、治療を中断するのはもったいないと思います。
残念ながら、現在の医療でも尋常性疣贅を「簡単」かつ「短期間」かつ「確実」に治す治療法はありません(特に足底の病変)。最も一般的な治療である凍結療法(液体窒素)でも多くは数カ月かかります。当院は日本皮膚科学会のガイドラインに従って治療を行っており、以下の治療を組み合わせ、ひとつひとつを丁寧に行うことで少しでも早く治るように取り組んでおります。特に難治性の尋常性疣贅は、外科的あるいは炭酸ガスレーザーによる切除を行っています。
①凍結療法(液体窒素)
・最も一般的、かつ効果が期待できる治療法です。
・1週間に1度通院して下さい(2週間以上間隔が空くと、治療効果が落ちます)
・ときに水ぶくれや血豆になることがありますが、それくらい強い反応が出る方が効果が高いです。
②削り処置
・肥厚した角質を削ることで凍結療法の効果を高めます。
③ヨクイニン内服
・免疫機能を高め、治りを早めます。
・成人の方は1日18錠内服する必要があります。
・8週間内服することで50%に有効だったとする報告がありますが、内服単独では効果は高くありません。
④モノクロル酢酸外用
・イボを腐食させることで治療効果を発揮します。
・治療に伴う痛みがありません。
⑤活性型ビタミンD3軟膏外用
・皮膚の細胞増殖を抑制する軟膏を自宅で塗布します。
・治療に伴う痛みがありませんが、効果も高くありません。
⑥暗示療法
・夜寝る前に尋常性疣贅が治った姿をイメージしてから眠ります。
・嘘みたいな治療法ですが、免疫を高めることで効果を現します(効果があったとする論文と効果がなかったとする論文あります)。
・全国各地にイボ取り地蔵があるため、昔から「治ると信じることでイボは治る」と考えられてきたようです。
⑦外科的、あるいは炭酸ガスレーザーによる切除
・他の治療法で軽快しなかった病変に対して行います(当院では初診時に治療することができます)。
・即効性があり、繰り返しの通院や治療が不要です。
・70~90%の病変は治癒します(10~30%の再発率があります)。
他にも接触免疫療法やブレオマイシン局注療法、フェノール外用などの治療法がありますが、これだけ多くの治療法があるということは逆に決定的な治療法が確立されていないということです。しかし、こうした治療を組み合わせて行うことで、尋常性疣贅はほぼ必ず治ります。お悩みの方はぜひご相談ください。
監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長
皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。
皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。