自宅でも起こりうる顔の神経損傷について|クリニックひいらぎ皮膚科形成外科|池尻大橋・渋谷・三軒茶屋

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医療コラム

自宅でも起こりうる顔の神経損傷について|クリニックひいらぎ皮膚科形成外科|池尻大橋・渋谷・三軒茶屋

自宅でも起こりうる顔の神経損傷について

クリニックひいらぎ皮膚科形成外科の藤木政英です。

顔には重要な神経がたくさんあるというイメージの方もいると思いますが、交通事故や転落などの重傷外傷を除き顔の重要な神経が損傷されることは実は多くありません。しかし、「ぶつけた」、「転んだ」などの自宅で起こりうる外傷でも生じる可能性がある顔の神経損傷があります。それが顔面神経側頭枝の損傷です。

顔面神経側頭枝は前頭筋というおでこの筋肉を支配しているため、この神経を損傷すると前頭筋が麻痺し、眉毛や上まぶたが下垂します。顔面神経側頭枝は中枢側では耳下腺内を走行しているため、この部位で損傷を受けることはほとんどありません。しかし、耳下腺を出ると比較的浅い層を走行するため、こめかみや眉毛外側付近に深いケガをすると神経損傷が起こる可能性があります。耳下腺は頬骨弓の下縁あたりの高さまでありますので、これより頭側の深いキズは要注意です(図の緑の範囲)

こめかみや眉毛外側あたりに深いケガをして眉毛が下垂する、挙げることができないという症状が出たときは顔面神経側頭枝の損傷の可能性があるため形成外科の受診が必要です。ただし、(動脈性出血などがなければ)緊急性が極めて高いという病態ではありませんので、深夜でも急いで病院に行った方がいいというわけではありません(深夜に神経縫合を行うことができる病院はほとんどありませんし、1時間2時間を争うわけではありません)。そのため、できればケガをした当日、難しいようなら翌日に形成外科専門医を受診してください。

治療は、損傷した神経を縫合する手術が必要です。神経欠損があるときは神経移植や(運動神経に用いる是非はさておき)人工神経を用いた再建を行います。顔面神経側頭枝の末梢では、神経の太さは成人でも1mmあるいは1mm未満のことが多く、正確に神経を縫合するには専門的な技術が必要です(やや話が複雑になりますが神経が断裂してなくても麻痺が生じる状態があり、必ずしも麻痺=神経断裂ではないのですが・・・)

実は、深夜にこうしたケガを受傷して救急外来を受診し、専門家以外の医師から「眉毛が挙がらないことは経過観察をしてください」と指示を受け、数か月後に形成外科を受診する方がいます。この状態になると治療が極めて難しくなります。時間経過とともに瘢痕形成といって創部が硬くなり、断裂した神経断端を見つけることが困難になる、かつ断裂した顔面神経を直接縫合することができない(神経移植が必要となる)ため治療成績が下がります。

繰り返しますが、こめかみや眉毛外側あたりの深いケガをして眉毛が挙がらなくなったときは当日、あるいは翌日に形成外科専門医を受診してください

藤木政英

監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長

皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。

皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。

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