細かく縫うほどキズはきれいに治るのか?
- 2024年9月14日
- 日帰り手術
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科の藤木政英です。
SNSで「当院は細かく縫合するのでキズがきれいに治ります!」と書いてあるものを見かけましたが、本当に「細かく縫う=キズがきれいに治る」のでしょうか?これに対する答えは「状況によってYesにもNoにもなる」というのが正確だと思います。
上の図のように、ホクロを取る際は基本的に紡錘形に切除して縫合しますので、同じ長さの創縁を縫い合わせます。このような状況で、医師は真皮縫合(皮膚の下を吸収される糸で縫うこと。糸は表に出ない。)を正しく行えば、皮膚を細かく縫う必要はないと考えています。細かく皮膚を縫合することで逆に皮膚の血流を阻害し、目立つキズ跡になるリスクもあります。
しかし、眉毛下皮膚切除術のように縫合する創縁の長さが異なるとき(上が短く、下が長いことが多い)は、どれほど真皮縫合を正しく行ってもわずかな段差(創縁の高さの違い)は残ります。そのため、このわずかな段差を修正するために皮膚を細かく縫合します。もちろん血流を阻害するような縫合をしてはいけませんが、顔の皮膚は血流がいいので、適切に縫合を行えば血流障害のリスクは低いです。そのため、眉毛下皮膚切除術で「細かく縫合します!」と言っているのは実は合理的です。
いずれにしても細かく縫うことが絶対的に正解ということはありません。経験のある医師は皮膚の厚さや部位、緊張の強さ、創縁の長さの違い、感染の有無、血流などを考えながら最適な縫合を行っています。そのような医師が治療したときは、皮膚が細かく縫合されてなくても心配不要です。
監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長
皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。
皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。