日帰り手術のメリット・デメリット
- 2023年5月15日
- 日帰り手術
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科の藤木政英です。
当院で力を入れている日帰り手術(主に保険診療)ですが、日本では広く定着していると言えません。日帰り手術は医療費を削減するだけでなく、入院を適正化することにも貢献するはずですが、人口当たりの病床数が多い日本では、空きベッドを好まない病院側の経営事情なども相まって日帰り手術を行う病院側のメリットが少ないことが原因の1つだと考えられます。
日帰り手術は、海外ではDay surgery(ambulatory surgery, outpatient surgery)と呼ばれ、適用範囲がどんどん広がっています。Day surgeryは、広義には手術後24時間以内に退院する、いわゆる1泊2日入院の治療も含みますが、手術当日に帰宅する日帰り手術についてメリット・デメリットを解説します。
メリット①:医療費が少なくて済む
日帰り手術は入院費が不要のため医療費は少なくて済みます。国民皆保険である日本では欧米ほどのメリットを感じにくいかもしれませんが、入院1日あたり数万円かかることが一般的なので、医療費を節約することができます。
メリット②:手術日を自分で決めることができる
あまり指摘されませんが、これは意外に大きいメリットです。大学病院などでは、「私達の手術日は〇曜日なので、〇月〇日の〇時から手術を行います。手術の30分前には病院に来てください」と言われます。クリニックでは基本的に毎日手術を行っているため、患者さんが手術日を指定することができます。
メリット③:早期の社会復帰が可能
忙しい方が多い現代社会では、早期に社会復帰できることは患者さんだけではなく、家族や職場にとってもメリットがあると考えます。また、小児や高齢者では家族と離れることがないため、精神的負担も軽減します。
デメリット①:専門的に行う医療者、環境が必要
皮膚科、形成外科領域の日帰り手術を安全に行うには、医師は適切な診断から治療までを短時間に行うことが求められます。患者さんを診察し、適切な診断と治療方針を決定し、患者さんに手術の説明を行い、手術も短時間、かつ腫れや出血を最小限にすることが必要です。こうした一連のことを迅速に行うには十分な知識と経験が必要なため、日帰り手術を行える医療者と医療機関が少ないことはデメリットです。
監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長
皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。
皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。