世界中の医師を混乱させた論文があります|クリニックひいらぎ皮膚科形成外科|目黒区・池尻大橋駅

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医療コラム

世界中の医師を混乱させた論文があります|クリニックひいらぎ皮膚科形成外科|目黒区・池尻大橋駅

世界中の医師を混乱させた論文があります

クリニックひいらぎ皮膚科形成外科の藤木政英です。

毎年たくさんの論文が発表されていますが、世界中の小児科医や皮膚科医、形成外科医を混乱させた有名な論文があります。
2002年にイギリスから発表された論文ですが、「いちご状血管腫を持つ1歳以下の121名の子供を、色素レーザーを照射する群と経過観察のみを行う群に分け、ランダム化比較試験(臨床試験の中で最も質が高い方法)を行ったところ、血管腫が消失した割合は両群で有意差はなく、むしろ皮膚の萎縮や色素脱失はレーザー照射群に高率で生じた」という結果でした。つまり、いちご状血管腫に対してレーザーを照射しても有効性が低いだけでなく、合併症が生じるリスクが高くなるというものでした。
この論文がLancetという有名な臨床系の雑誌に掲載されたので、多くの人に読まれることになりました。そのため、今でもご年配の医師で「いちご状血管腫にレーザー治療をしても意味がない」という説明をする方がいるようです。しかし、この論文にはいくつかの問題点があり(585nmという現在では用いられない波長のレーザーを用いていること、パルス幅が0.45msといちご状血管腫に用いるには短すぎること、レーザーの冷却装置が用いられていないこと、照射間隔が2~4週間ごとであり極端に短いこと、など)、結論ありきで書かれた可能性があるのではないかという意見があります(なぜあえてレーザー照射を否定したかは諸説あります)。

いずれにしても、レーザー機器が発達し、いちご状血管腫に対する病態の解明も進んだ現在では、レーザー照射は、有効性、安全性ともに確立していますのでご安心ください。

藤木政英

監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長

皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。

皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。

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