クレーターの治療法は2つしかありません!
- 2024年12月4日
- 日帰り手術
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科の藤木政英です。
皮膚の浅いところから表皮、真皮、皮下組織という構造がありますが、真皮や皮下組織に損傷や炎症を生じると、皮膚が瘢痕組織という硬い組織に置き換わります。さらに、損傷や繰り返す炎症が起きた組織は縮んで治癒する性質があるため、ニキビが繰り返しできることによって徐々に組織が収縮し、皮膚が陥凹してニキビ跡になります(深い熱傷やケガが縮んで治るのと同じ理屈です)。つまり、ニキビ跡(クレーター)は正常皮膚が瘢痕組織に置き換わること、組織が収縮することで皮膚が陥凹することによって起こります。
そのため、クレーターの治療は、端的に表現すると2つしかありません。それは、表皮や真皮からの「皮膚の再構築を促す治療」と「深部にある瘢痕を解除する治療」の2つです。「皮膚の再構築を促す治療」が、炭酸ガスレーザー、ダーマペン、フラクショナルレーザー、ポテンツァ、TCAクロス、ケミカルピーリング、トレチノインなどであり、「深部にある瘢痕を解除する治療」がサブシジョン(トライフィルプロ、キュアジェット含む)になります(誤解しないでいただきたいのですが、私はこうした治療の全てに効果があると言っているわけではありません)。
ニキビ跡の治療は未だに医学的根拠の乏しい胡散臭いものが多く、「新しい治療が出てきた」あるいは「最近流行りの〇〇という治療がいいらしい」のような理由で治療法を選択しないでもらいたいのです。「最新の治療=最高の治療」ではありません。最新の治療を受けたくなる気持ちはわかりますが、その治療を受ける前に次の2点を考えて下さい。
➀その治療法は、2種類の治療のうちどちらにアプローチしているのか(あるいは新たな3種類目の治療法なのか)。
➁既存の治療とどう違うのか。
しかし、現実的には患者さんが治療の良し悪しを判断するための十分な情報を得ることは難しいと思います。患者さんが悩んだときのために私たち医療者はいるので、新しい治療法に飛びつくのではなく、まずは信頼できる近くの医師に相談するのがいいと思います。結論はありきたりですが、結局そこが一番重要です。
監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長
皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。
皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。