なぜニキビ跡(特にアイスピック型)では治療後に一時的に悪化したと感じることがあるのか
- 2025年1月14日
- 日帰り手術
炭酸ガスレーザーを用いたニキビ跡の治療後に一時的に悪化したと感じることがありますが、この一時的な変化が生じる理由について解説します。
ニキビ跡(特にアイスピック型やローリング型)ではエッジを削ることで平坦な瘢痕にすることを前回の投稿で説明しました(下図①、②)。しかし、ボックスカー型と比べ、アイスピック型や深めのローリング型のように深い瘢痕を平坦にするためには当然削りもやや深くなります。
キズが治癒(上皮化)するのはおよそ2週間ですが、やや深めに削ったことによる陥凹は3~6ヵ月ほどかけて改善していきます。そのため、治療後1カ月の時点では上の画像の矢印のように削った部分の陥凹が残存していることがあります。ダウンタイム中の赤みがあることに加え、エッジを削った分だけ広い陥凹瘢痕となっているため、「ニキビ跡が悪化した」と感じる方もいます。
しかし、上の画像の矢印以外の部分をご覧いただくとわかりますが、矢印以外の部分はすでに平坦になっており、矢印の部分の陥凹も3~6ヵ月ほどかけて改善していきます(下図③、④)。そのため、「治療後1か月の時点ではまだダウンタイム中であるため過度に心配をしない」という気持ちが大切です。
これまでアイスピック型や深めのローリング型には治療法がないとされてきましたが、このように時間をかけて改善させることができるようになっています。創傷治癒には時間が必要なため、少なくとも治療後3ヵ月は経過を見ることが重要です。
監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長
皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。
皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。