水痘跡
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水痘跡

水痘跡(みずぼうそうの跡)とは、水痘(みずぼうそう)に罹患することによって生じる陥凹した(へこんだ)キズ跡です。治療対象となる水痘跡は前額、眉間、頬部、まぶたに生じることが多いです。胸や背中などにも生じますが、目立つ部位ではないため治療対象となることはほとんどありません。
水痘後に陥凹したキズ跡になる理由はニキビ跡(クレーター)ができる理由とほぼ同じです。皮膚は浅いところから表皮、真皮、皮下組織という構造に分かれますが、水痘や掻爬(強く掻くこと)によって真皮の深い層や皮下組織に損傷や炎症が生じると、皮膚が瘢痕組織という硬い組織に置き換わります(表皮や真皮の浅い層のみの損傷や炎症は「上皮化」という機序で再生し、瘢痕組織に置き換わることなく跡を残さずに治癒します)。さらに、損傷や炎症が起きた組織は縮んで治癒する性質があるため、皮膚が陥凹して水痘跡になります(深い熱傷やケガ、繰り返すニキビが縮んで治るのと同じ理屈です)。
つまり、水痘跡は「正常皮膚が瘢痕組織によって置き換わること」「組織が収縮することで皮膚が陥凹すること」によって起こります(実際に、水痘跡は英語で「chickenpox scar(chickenpox:水痘、scar:瘢痕)」と表現されます)。

ただし、水痘跡がニキビ跡と決定的に異なる点は「数が少ないこと」と「エッジ(角:かど)が目立つこと」です(この違いは治療方針を決める上で重要です)。水痘は多発するものの全てが水痘跡になるわけではなく、多くの場合、目立つ陥凹瘢痕になるのは1~5個程度です。
水痘跡の治療は、端的に表現すると2つしかありません。それは、「表皮や真皮からの皮膚の再構築を促す治療」と「水痘跡の深部にある瘢痕を解除する治療」の2つです。
「表皮や真皮からの皮膚の再構築を促す治療」にはいくつかの方法があり、この再構築のきっかけを薬剤で与えるものがピーリング、トレチノイン、TCAクロス、スキンブースター、針で与えるものがダーマペン、ラジオ波で与えるものがポテンツァ、レーザーで与えるものが炭酸ガスレーザー、フラクショナルレーザーになります (炭酸ガスレーザーとフラクショナルレーザーは組織を蒸散させる点では共通していますが、水痘跡に対する照射方法は全く異なります)。ただし、炭酸ガスレーザーは皮膚を再構築するというより「長いダウンタイムと一定のリスクはあるが、エッジを削る方法はこの方法しかない」という位置付けです。
その一方で、「水痘跡の深部にある瘢痕を解除する治療」はサブシジョンしかありません(サブシジョンを医療機器で行うものもあります)。そのため、水痘跡の治療の原則はサブシジョン(Subcision)を行い、さらに「皮膚の再構築を促す治療」を追加するということになります。

そのため、治療方針に悩む方は「まずサブシジョンを受けてから今後の方針を考えればいい」ということになります。しかし、ここで水痘跡がニキビ跡と異なる点である「数が少ないこと」と「エッジ(角:かど)が目立つこと」が重要となります。確かにサブシジョンを行うと水痘跡は浅くなります。しかし、「エッジが目立つ」水痘跡が浅くなったとしても治療効果を実感しにくいことがあります。
そのため、水痘跡に対してはエッジを削る治療(=炭酸ガスレーザー)も重要な選択肢となります。炭酸ガスレーザーはダウンタイムが長いため、多発する傾向があるニキビ跡に用いるには慎重な検討が必要ですが、数が少なくエッジが目立つことが多い水痘跡には積極的に用いてもいいと考えます(ただし、厳密なアフターケアが必須です)。
ダウンタイムが許容できない方は、サブシジョン後にスキンブースター、フラクショナルレーザーなどで皮膚の再構築を促すことをお勧めします(ただし、スキンブースターやフラクショナルレーザーではエッジを目立たせなくする効果に限界があります)。
皮膚の下(正確には真皮とSMASという筋膜の間)の瘢痕組織を切ることによって皮膚が引き込まれた状態を改善させます。局所麻酔を行った後に、サブシジョン用の針で瘢痕組織を剥離し、凹みをなだらかにします。単に癒着をはがしただけでは再度癒着するため、ヒアルロン酸などのフィラーを注入することで剥離した層を持ち上げると同時に再癒着を予防します。
サブシジョンについて詳しくはこちら

皮膚に含まれる水分に反応して組織を蒸散させるレーザーです。ニキビ跡の角(エッジ)を削ることにより平坦なキズにするために用いますが、照射した部位はキズになりますので、3カ月間の厳密なアフターケアが必要になります。水痘跡のエッジを改善させるにはこの方法しかありませんが、最もダウンタイムが長く以下のようなリスクを伴います。

・肥厚性瘢痕、ケロイド:ステロイドの注射などの追加治療が必要になることがあります。いったん生じると追加治療を行っても皮膚の赤みや硬さとして残存することがあります。
・炎症後紅斑:炎症や創傷治癒過程の結果として必ず赤みが起こります。多くの方は3~12ヵ月程度で軽快しますが、赤みが持続することもあります。持続するときはVbeamなどによる治療を行いますが、完全に赤みが消えないこともあります(入浴後に赤みが出現するなど)。
・皮膚の質感や色調の変化:水痘跡やその周囲は瘢痕組織であり、陥凹が改善したとしても正常皮膚との質感や色調の差は必ず残ります。瘢痕組織を正常皮膚に戻す方法はないため、正常皮膚と同じ質感や色調にすることは現代医学では不可能です。
・皮膚の硬結:治癒過程で創傷部位は固くなりますので一時的な皮膚の硬結が必ず起こります。自然軽快することがほとんどですが、施術部位の一部に硬結が残ることがあります。
・炎症後色素沈着:ほとんどの方は半年~1年ほどで軽快します。
・色素脱失:照射部位が白っぽい状態になることがあります。特別な治療法はなく、数年かけて自然軽快することが多いため経過観察を行いますが、完全に改善しないこともあります。
・局所麻酔のアレルギー反応、アナフィラキシーショック、局所麻酔薬中毒
真皮に直接注入することで真皮を再構築する治療法です。
従来、皮膚を再構築するにはダーマペン、フラクショナルレーザー、ポテンツァなどであえて皮膚に損傷を加えて創傷治癒を促す方法が主流でしたが、近年ではスキンブースターを用いて真皮を再構築する方法が主流となりつつあります。その理由としては、ダウンタイムが短く、治療効果が高いためです(ただし、従来の方法より費用はやや高額になります)。
代表的なスキンブースターとしてジュベルック、リジュラン、プルリアルなどがあります。当院ではいずれの薬剤も水光注射(ダーマシャインプロ)を用いて、均一の間隔かつ均一の投与量とすることで自然な仕上がりになるようにしています。

皮膚表面にごく小さな点状の穴を多数あけ、そこから皮膚の再構築を期待するレーザーです。施術前に麻酔クリームを塗布しますので、痛みはそれほどありません。当院はルートロニック社のeCO2 Evolutionを用いており、レーザー照射径・エネルギー・照射密度などを最適化しながら治療を行います。
フラクショナルレーザーは以前から広く行われてきた治療法ですが、スキンブースターの発達により水痘跡に対しては徐々に用いられる頻度は減っています。
シミを薄くする外用薬として知られているトレチノインですが、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)を促す作用があります(その作用を利用してメラニンを排出することでシミが薄くなります)。
この作用を利用して、炭酸ガスレーザーによる治療後などのわずかな陥凹の改善に対して用いられます。A反応(赤み、ヒリヒリ、皮むけ、乾燥など)が出ることもありますので、濃度や塗布する頻度を医師の診察で決めます。自宅で継続的に皮膚の再構築を促すことができることがトレチノインの最大の利点です。
TCA CROSSとはTrichloroacetic Acid Chemical Reconstruction Of Skin Scarのことで、高濃度のトリクロロ酪酸(TCA)を塗布することで皮膚の再構築を促します。
しかし、TCAクロスはAcidという単語が含まれていることからもわかる通り「酸」の作用で皮膚に障害を与えます。水痘跡の治療では、皮膚の再構築を促す深さや範囲を厳密に調整することが重要です。TCAクロスでは影響を与える範囲を微調整することが難しく、効果が乏しい、あるいは逆に悪化や色素沈着を起こすリスクがあるため当院では採用していません(皮膚の再構築を促す深さや範囲を厳密に調整するには炭酸ガスレーザーの方が優れています)。
フィラーとは、英語ではfillerと表記(fill:満たす、充填する)し、皮膚に注入して不足しているものを補う注入剤です。一般的にフィラーにはヒアルロン酸、コラーゲン、ハイドロキシアパタイトなどがあり、シワの改善やボリュームアップのために用いられます。
サブシジョンは単独で行う方法と、サブシジョン後の剥離した層にフィラーを注入する方法があります。しかし、フィラーを注入することによってサブシジョンで剥離した層を持ち上げると同時に皮膚の再癒着を予防することができますので、当院ではサブシジョン後にフィラーを注入しています。
フィラーとして「ヒアルロン酸」、「ジュベルック」、「脂肪注入」の3種類を準備しています。それぞれに特徴がありますが、判断に悩むときは最も基本的なフィラーであるヒアルロン酸をお勧めしています。
その一方で、「ヒアルロン酸が吸収された後に水痘跡が再発しないのか?」と疑問に感じる方もいると思います。これに対し、「サブシジョンを行った後にヒアルロン酸を注入することで、線維芽細胞が活性化し、コラーゲンが合成され、再発が予防できる」と報告されています。このように専門用語を並べるとそれらしく聞こえるのですが、ヒアルロン酸が吸収されるのは事実であり、長期経過が安定しているかは現在でもよくわかっていません。事実、頻度はまれですが、ヒアルロン酸が吸収される治療後6か月頃に再度陥凹する方がいます。
そこで当院は、長期的に効果が持続して真皮を再構築する効果がある「ジュベルック」、いったん生着すれば半永久的に効果が持続する「脂肪注入」もお受けになることができます。ただし、フィラーの違いが長期的な治療結果に与える影響については論文上の報告はありません。
それぞれのフィラーの特徴は以下の通りです。
サブシジョン後に用いられるフィラーとして最も一般的なものです。サブシジョンで剥離した層を持ち上げると同時に再癒着を予防します。当院では、シワなどに用いられる一般的なヒアルロン酸ではなく、サブシジョン用の柔らかいものを用いています。
PDLLAという成分を主成分とし、PDLLAと非架橋ヒアルロン酸を組み合わせたものです。真皮のコラーゲンやエラスチンの生成を促す役割があり、1~2年ほどかけてゆっくりと水と二酸化炭素に分解され、吸収されていきます。そのため、皮膚の再構築効果を有しつつ、ヒアルロン酸と比べて長期の効果が期待できます(ジュベルックについて詳しくはこちら)。
ヒアルロン酸は半年ほどで吸収されますが、脂肪注入はいったん生着すれば半永久的に効果は持続します。そのため、ヒアルロン酸を注入後に再陥凹した方に適用となり、脂肪を採取する侵襲が加わるため第一選択のフィラーではありません。これまでサブシジョンを受けたことがない方は、まずはヒアルロン酸かジュベルックを選択してください。
脂肪吸引や脂肪注入の手技や有用性は確立していますが、合併症として以下のことが起こる可能性があります。
感染、皮下出血、腫脹、瘢痕、色素沈着、疼痛、漿液腫、脂肪塞栓、脂肪壊死、知覚低下
ただし、注入に用いる脂肪は1~2cc程度であり、豊胸などで行う脂肪吸引や脂肪注入よりはるかにリスクは低いと考えられます。脂肪吸引の部位は下腹部、あるいは大腿内側になります。
繰り返しになりますが、水痘跡は繰り返す炎症によって組織が収縮して皮膚が陥凹すること、正常皮膚が瘢痕組織に置き換わることによって生じます。そのため、理想的な水痘跡治療は①収縮した組織を再生させ、②瘢痕組織を正常皮膚に戻すことになります。
しかし、現代医学ではそのような治療法存在しません。瘢痕組織を正常皮膚に戻す方法はないため、ニキビ跡の陥凹が改善したとしても正常皮膚との質感や色調の差は必ず残ることをご了承ください。この質感の差を改善させたい方は、スキンブースターやフラクショナルレーザーなどをご検討ください。

術式:サブシジョン+ヒアルロン酸+炭酸ガスレーザー
治療回数:1回
合併症:内出血、腫れ、赤み、肥厚性瘢痕・ケロイド、知覚低下、陥凹の再発、炎症後色素沈着、硬結(しこり)、顔面神経側頭枝の損傷、局所麻酔のアレルギーなど
費用:121,000円
| 1~2カ所 | 66,000円 |
| 2~5カ所 | 88,000円 |
| 5~10カ所 | 168,000円 |
治療範囲に関わらずジュベルックを用いるときは+33,000円、脂肪注入を用いるときは+110,000円(麻酔代・脂肪吸引費込み)になります
| 1~2カ所 | 121,000円 |
| 2~5カ所 | 176,000円 |
| 5~10カ所 | 320,000円 |
治療範囲に関わらずジュベルックを用いるときは+33,000円、脂肪注入を用いるときは+110,000円(麻酔代・脂肪吸引費込み)になります
| 1本 | 22,000円 |
※炭酸ガスレーザー単独の費用設定はありません。
| ジュベルック | 全顔 | 1回 | 35,000円 |
| 3回 | 87,500円 | ||
| 頬のみ | 1回 | 22,000円 | |
| リジュランi、リジュランHB | 全顔 | 1回 | 42,000円 |
| 3回 | 10,5000円 | ||
| プルリアルデンシファイ | 全顔 | 1回 | 68,000円 |
| 3回 | 170,000円 |
| 全顔 | 1回 | 22,000円 |
| 5回 | 99,000円 | |
| 鼻+両頬 or 両こめかみ+両頬 | 1回 | 16,500円 |
| 5回 | 75,000円 |