粉瘤が悪性化する可能性はあるのか?
- 2025年2月2日
- 日帰り手術
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科の藤木政英です。
粉瘤は形成外科手術の20%を占めるという報告もあるくらいありふれた病気です。もちろん当院でも毎日のように手術をしています。 悪性化とは、この粉瘤が癌になることです。粉瘤が悪性化することはありますが、悪性化した粉瘤を治療した経験がある形成外科医や皮膚科医はほとんどいないと思います(私も経験はありません)。それくらい粉瘤の悪性化はまれです。
過去の報告では粉瘤の0.011~0.045%(1万例中数例程度)が悪性化するとされています。しかし、日本ではこれまで悪性化した粉瘤の報告は100~150例程度しかありません。もちろん全ての悪性化した粉瘤が論文として報告されているわけではありませんが、多くの形成外科医や皮膚科医が毎日のように粉瘤を切除していることを考えると、粉瘤が悪性化する割合が1万例中数例程度というのは高すぎる印象であり(それでも相当まれですが・・・)、実際の頻度はもっと低いのではないかと考えます。海外の報告でも9例のケースシリーズの報告が最多であり、症例が蓄積しにくく、悪性化の正確な頻度はわかっていないのが現状です。
粉瘤は顔や首に最もできやすいのですが、臀部(おしり)の粉瘤が最も悪性化しやすいとされています(坐位や仰臥位の際の慢性的な物理的刺激や炎症による)。そのため、粉瘤の悪性化はまれであり過度に心配する必要はないものの、5年や10年ある粉瘤(特に臀部)が急に増大してきたときや慢性的に排膿しているときは必ず形成外科専門医か皮膚科専門医を受診することが重要です。
監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長
皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。
皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。