眼瞼黄色腫の治療法は炭酸ガスレーザーの一択!(だと思う)
- 2024年11月15日
- レーザー治療
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科の藤木政英です。
眼瞼黄色腫の治療は、主に手術と炭酸ガスレーザーの2つがありますが、当院は以下のような理由で原則として炭酸ガスレーザーで治療を行っています。
➀手術
基本的に病変周囲を切除して縫合するという手術自体は単純な方法です。
しかし、まぶたの皮膚は数mm切除するだけでもまぶたの形態に影響を及ぼすことがあり、下まぶたの皮膚を過度に切除すると外反するリスクがあります。こうしたリスクを避けるために、周囲の皮膚を切開し、皮膚(を含む血流のある組織)を移動させることによってまぶたの変形を予防する局所皮弁という手術法があります。しかし、まぶたに幾何学的なキズ跡が残ること、再発したときに次の治療選択肢は結局炭酸ガスレーザーになること、などの欠点があります。そのため、当院では原則として眼瞼黄色腫に対して手術は行わない方針としています。それくらいまぶたの皮膚は重要なものです。
眼瞼黄色腫に対して手術を希望される方は、形成外科専門医かつまぶたの手術のエキスパートの診察を受けるくらいの慎重さは必要のように思います。
➁炭酸ガスレーザー
眼瞼黄色腫は皮膚の深層まであることが多く、炭酸ガスレーザーで眼輪筋という筋肉の上まで病変を削ります。
小さな病変では一度の治療で全ての病変を削ることができます。軟膏による2週間のアフターケアを行いレーザー照射部のキズを治癒させますが、赤みが3~6か月ほど続きます。
炭酸ガスレーザーで皮膚の深層まで削った場合、残った周囲の皮膚から創傷治癒が進みます。しかし、大きなキズほど周囲の皮膚からの創傷治癒に時間がかかり、キズの中央部が目立つ瘢痕として残ります。つまり、大きな病変では一度に全てを削ると、キズ跡が目立つリスクが高くなります。 そのため、大きな病変(5mm以上が目安)ではあえて病変の一部を残しつつ5mm以内で削り、いったんキズを治癒させます。1つ1つのキズは小さいため、2週間程度で治癒し、キズ跡も目立ちにくくなります。続いて、初回のレーザー照射から4週間後を目安に2回目のレーザー照射を行い、全ての病変を削ります。この場合も、2回目のレーザー照射から3~6か月ほどで目立たなくなります。ただし、周囲の皮膚と全く同じ状態(キズ跡が全くない状態)にすることは不可能であり、周囲の皮膚よりやや白っぽい状態になりますが、問題となることはほとんどありません。
この方法は治療期間が長くなること、1回目の施術から2回目の施術までキズ跡と病変が混在したやや違和感のある外観になることが欠点です。また、キズ跡がきれいに治りやすい顔やまぶたにのみ行うことができる治療法で、体や手足の病変に行うことはできません(目立つキズ跡になります)。しかし、こうした欠点を考慮しても、まぶたの変形のリスクを減らすことができ、再発した際の追加治療も容易かつ治療結果も安定している炭酸ガスレーザーが第一選択であると考えます。
監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長
皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。
皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。