眼瞼下垂の手術を受ける方に知ってもらいたいこと
- 2023年8月4日
- 眼瞼下垂
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科の藤木政英です。
眼瞼下垂の手術が広まるにつれて、「他のクリニックで眼瞼下垂の手術を受けたけど、仕上がりが想像と違ったので再度手術を受けたい」と私の外来を受診する方が増えている印象です。
単純な埋没法と異なり、(保険適用の)眼瞼下垂の手術は余剰皮膚の切除、眼輪筋や眼窩脂肪、瞼板前組織の切除、外角切開、瞼板と挙筋腱膜の固定など、手術中にまぶたの解剖学的構造を変化させるため、手術前に仕上がりを完全にシミュレーションすることができません(仕上がりに近いイメージのシミュレーションはできますが・・)。そのため、手術後に「想像と違った」という不満が生じる可能性があり(特に、二重の幅、開瞼幅(目の開き具合)、余剰皮膚の残存)、結果として修正手術が必要になることがあります。
しかし、実はどれほど多くの眼瞼下垂の手術を行ってきた医師でも、一定の確率で修正手術が必要になることが論文として報告されています。そのため、まぶたの手術の経験が豊富な医師ほど、修正手術が必要になる可能性まで考えて初回手術を行っています。
なぜ修正手術のことも考えるかというと、初回手術より修正手術の方が技術的に難しく、簡単な修正と難しい修正があるためです。一般的に、「二重の幅を広げる、開瞼幅を大きくする、余剰皮膚を追加で切除する」手術はそれほど難しくありません。しかし、「二重の幅を狭くする、開瞼幅を小さくする」手術は難易度が高くなります。いったん手術を行うと瘢痕組織ができてしまうため、こうした修正を行うには丁寧に瘢痕組織を剥離することになりますが、必ずしもきれいに剥離できるとは限らないためです。また、切除しすぎた皮膚は元に戻すことができません。
そのため、眼瞼下垂の手術は「少し控えめに」行うことが原則です。端的に言えば、眼瞼下垂の手術はやりすぎないことが重要なのです。大学病院などではこうしたことを徹底的に教えているため、眼瞼下垂でお悩みの方は必ず専門医を受診するようにして下さい。
監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長
皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。
皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。