前額部(おでこ)の脂肪腫
- 2025年5月3日
- 日帰り手術
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科の藤木政英です。
脂肪腫はありふれた良性腫瘍であり当院では毎日のように手術をしていますが、前額部(おでこ)の脂肪腫はやや気を使います(前額部は脂肪腫の好発部位です)。
理由としては以下の3点です。
①前頭筋という筋肉の下にあることが多い
②正中側の病変では眼窩上神経・滑車上神経に配慮する必要がある
③外側の病変では顔面神経側頭枝に配慮する必要がある
ほとんどの脂肪腫は皮下脂肪層に生じますが、前額部は前頭筋という筋肉の下に生じることが多いことが特徴です(前頭部より頭側の病変では帽状腱膜という組織の下に生じることが多いです)。他の部位と異なり深い層に生じるため、小さな切開で摘出することが難しく、脂肪腫の大きさと同程度に皮膚を切開することが多いです。
また、正中側には眼窩上神経、滑車上神経という知覚神経(感覚の神経)があり、眼窩上神経は主に前額部~前頭部、滑車上神経は主に前額部の知覚を支配しています。さらに眉毛外側部には顔面神経側頭枝という運動神経(筋肉を動かす神経)があり、前頭筋という眉毛を挙上する筋肉を支配しています。
そのため、深い層にあることが多い前額部の脂肪腫を切除するとこうした神経が麻痺するリスクがあります(神経は切断しなくても少し触れるだけで麻痺を生じることがあります)。
こうしたリスクに加え、そもそも前額部はキズ跡が気になる方も多いため、前額部の脂肪腫を治療する際は形成外科専門医が所属する医療機関を選ぶことをお勧めします。
監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長
皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。
皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。