腋窩多汗症(わき汗)
腋窩多汗症(わき汗)
日本人の10%はわき汗に悩んでいるという報告があり、ありふれた病気の1つです。大人が悩むイメージがある病気ですが、大人だけではなく子供にも発症します。「わきが」と混同されることがありますが、必ずしもわき汗ににおいが伴うわけではありません。
わきにはエクリン腺とアポクリン腺という2種類の汗腺があり、エクリン腺から出る汗はさらさらしており、アポクリン腺から出る汗はべとつき、特有のにおいがあります。遺伝、体質、生活習慣、甲状腺などの疾患が関与していることもありますが、ほとんどの方は明らかな原因はありません。
原発性腋窩多汗症には以下の診断基準があります。他に耳垢(みみあか)の湿りなどの症状が出ることがあります。
原因不明の多量の発汗が6か月以上続いていることに加え、以下の6項目中2項目以上を満たす。
腋窩多汗症は治療選択肢が多く、保険診療でも治療効果が高いため、まずは保険診療内で治療を行うことを勧めております。
エクロックゲルとラピフォートワイプの2種類が保険適用となっています。エクロックゲルは塗るタイプであり、ラピフォートワイプは拭くタイプという違いがあります。エクロックゲルは12歳以上、ラピフォートワイプは9歳以上の方に処方できます。
両方とも1日1回使うだけでいいのですが、根本的に汗の腺を取り除くわけではないので継続して使用する必要があります。手や足底、顔の多汗に対して用いることはできません。
汗の分泌を抑えるプロバンサインという内服薬があります。内服をやめると汗の量が元に戻るため、継続して内服する必要があります。喉の渇きや眠気の副作用がありますので、外用薬では効果が乏しいときに選択肢となります。
わきに片側あたり20カ所程度、50単位の注射を行います。注射の数日後から効果が出始め、1週間ほどで安定します。効果は半年(4~9か月)ほど持続しますので、毎年春頃に注射すると最も汗に困りやすい夏を快適に過ごすことができます。
妊婦、または妊娠している可能性がある方は注射を受けることができません。女性の方は注射後2回の月経が過ぎるまで、男性の方は注射後3か月間は避妊が必要です。
3割負担の方の自己負担金は両側で約2万円です。
わきの皮膚を1カ所、1~1.5cmほど切開し、皮膚の下の汗腺を取り除きます。皮膚を広めに剥離するため、手術後は血が貯まらないようにドレーン(血抜きの管)を挿入します。多くの医療機関では5cm以上の皮膚切開を行いますが、当院は1~1.5cmの皮膚切開で行っています(詳しくは下の動画をご覧ください)。
大きく皮膚切開しても小さく皮膚切開しても治療効果は全く変わりません。さらに小さな皮膚切開で手術を行うことにより目立つキズ跡や皮膚壊死などの合併症が起こるリスクは最小限になります。つまり、小さな皮膚切開で手術を行うデメリットは何もありません。
手術時間は片側あたり45分程度です。両方同時に行うこともできますし、手術後の安静を楽にするために片側ずつ行うこともできます。
・着脱しやすい、ゆったりとした服装でご来院ください。腕を上げなくても着ることができる服が望ましいです。
・シャワーを浴びてから来院する方が手術後の安静を保ちやすくなります。
・弾性包帯を使って圧迫し、肩から腕が動きにくくなるようにします(手術をした部位の安静のため)。
・仕事や学校など、普段通りの生活をしていただいて構いませんが手術後1週間は車を運転や重いものを持たないようにしてください。
・うでの安静の制限はなくなります。車の運転も普段通りしてください。
・抜糸をするためにご来院ください。入浴、スポーツともに制限はなくなります。
※両側の費用です。
※手術費用の他に、診察料などがかかかります
項目 | 料金 |
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手術 | 約41,000円(3割負担) 約13,700円(1割負担) |