脂肪腫
脂肪腫
脂肪腫は皮下に発生する腫瘍の中で最も多く、よく見かける病気の1つです。未分化の細胞が脂肪細胞に分化して増殖するとされていますが、はっきりとした原因はよくわかっていません。

体表のどこにでもできますが、背中、肩、上腕などに多く見られます。1cmくらいのしこりとして気付くことが多く、ゆっくりと増大します。ときに10cm以上になることもありますが、痛みなどの症状はありません。
稀に悪性のものや、筋肉より深くにできることがありますので、超音波検査、CT検査、MRI検査などで詳細な評価を行うことがあります。
脂肪腫の治療は手術による摘出です。
脂肪腫は被膜と呼ばれる薄い膜があるものと、被膜がないものがあります。被膜がある脂肪腫は、指で剥離して摘出することができるため、小さな切開で切除することができます。被膜がないものは周囲と癒着していることがあるため、脂肪腫の大きさと同じ程度の切開を要することがあります。被膜があるかを事前に確定することはできません(超音波検査で被膜が見えることはあります)が、一般的に周囲組織との可動性が良好なものは被膜がある傾向があります。つまり、脂肪腫を指でつまんでみて、たくさん動くものは小さな切開で切除できる可能性が高いです。
いずれにしても当院では極力キズ痕が目立たないように最大限の配慮をして創部を縫合します。大きい脂肪腫を切除したときは、手術後の血腫を予防するためにドレーンと呼ばれる血抜きの管を挿入します。






前額部(おでこ)は脂肪腫の好発部位ですが、前額部の脂肪腫を治療する際は他の部位と異なる注意が必要になります。
理由としては以下の3点です。
①前頭筋という筋肉の下に生じることが多い
②正中側の病変では眼窩上神経・滑車上神経に配慮する必要がある
③外側の病変では顔面神経側頭枝に配慮する必要がある
ほとんどの脂肪腫は皮下脂肪層に生じますが、前額部は前頭筋という筋肉の下に生じることが多いことが特徴です(前頭部より頭側の病変では帽状腱膜という組織の下に生じます)。他の部位と異なり深い層に生じるため、小さな切開で摘出することが難しく、脂肪腫の大きさと同程度の皮膚を切開を要することがあります。
また、正中側には眼窩上神経、滑車上神経という知覚神経(感覚の神経)があり、眼窩上神経は主に前額部~前頭部、滑車上神経は主に前額部の知覚を支配しています。さらに眉毛外側部には顔面神経側頭枝という運動神経(筋肉を動かす神経)があり、前頭筋という眉毛を挙上する筋肉を支配しています。そのため、深い層にあることが多い前額部の脂肪腫を切除するとこうした神経が麻痺するリスクがあります(神経は切断しなくても少し触れるだけで麻痺を生じることがあります)。
前額部の脂肪腫の治療を受ける際は、専門的に治療を行っている医療機関を受診することが重要です。
血管脂肪腫とは、手足や体幹に多発する脂肪腫です。大きさは1cm程度までのことが多いですが、2~3cm程度になることもあります。脂肪腫は痛みを伴うことはほとんどありませんが、血管脂肪腫は痛みを伴うことがあるのが特徴です。
脂肪腫と同様に手術が必要ですが、血管脂肪腫は周囲組織との結合が少ないことが多く、脂肪腫より容易に摘出できます。「血管」という名前が付いていますが、脂肪腫と比較して出血しやすいということはありません(むしろ通常の脂肪腫より摘出は容易です)。
当院では複数の血管脂肪腫の同時切除を行っています。大きさや部位によって同時に切除できる個数は異なりますので、まずはお気軽に診察にお越しください。
皮膚は浅いところから表皮、真皮、皮下組織に分けられますが、真皮にキズができると、キズを治すために炎症が起こり、その後に血管新生やコラーゲン産生などの創傷治癒が起こります。通常、こうした創傷治癒の過程で炎症は徐々に改善してきます。しかし、手術後のキズに感染、血腫、真皮に引っ張る力が加わるなどの刺激が加わり続けると炎症はいつまでも改善せず、血管新生やコラーゲン産生が過剰に生じます。その結果、肥厚性瘢痕やケロイドという赤く盛り上がったキズ跡になります。
そのため、手術後のキズをきれいに治すためには①キズをスムーズに治癒に導く、②キズを引っ張る力を予防する、③形成外科専門医の手術を受ける、の3点が重要です。

キズをスムーズに治癒に導くためには手術後のキズを清潔に保つこと、乾燥させないことが重要です。そのため、手術翌日よりキズをシャワーで優しく洗浄してください(ボディソープの泡で洗うイメージです)。その後、処方された軟膏をキズに塗布し、絆創膏などで覆ってください。ガーゼを使用する際は、ガーゼにキズがくっつかないように軟膏は多めに塗布してください。これを1日1~2回、抜糸まで行っていただきます。
もちろんこれらには例外はありますので、手術後に適切なケア方法を指示いたします。
抜糸したらキズは治ったと思う方もいますが、まだ創傷治癒は完成していません。抜糸後も創傷治癒は進んでいきますが、この過程でキズ(真皮)を引っ張る力が加わると、肥厚性瘢痕やケロイドが生じやすくなります。特に前胸部、上腕、肩甲骨部、上背部、下腹部などの皮膚を引っ張る力が強くかかりやすい部位では注意が必要です。

そのため、手術後は「キズを引っ張る力」を予防するためにアフターケアをしてください。具体的には創部の安静を守る(キズが引っ張られないようにくっつけておく)ためにテーピング(マイクロポア、アトファインなど)やシリコンジェルシート(ケロコートなど)を3か月間使用していただきます。これらは入浴中も貼りっぱなしでよく、マイクロポアは3日に1度、アトファインは5~7日に1度の交換、ケロコートは1日2回の塗布を目安としてください(もちろん汚れたり剥がれたりしたら貼りかえてください)。


さらに、手術後3ヵ月間はキズが引っ張られるような運動を控える(キズを動かさない)ことが理想です。しかし、運動を早めに開始したい方も多いと思います。手術後もできるだけ普段通りの生活を送ることも重要であるため、キズと生活のバランスを相談しながら運動の程度を決めていきます。
キズをきれいに治すためにはキズ(真皮)を引っ張る力を予防することが重要であり、アフターケアが必要なことを説明しました。しかし、手術操作によってもキズを引っ張る力を予防することができます。具体的には、真皮を引っ張る力が小さくなるように盛り上げて縫合をします。ときに下の画像のように真皮より深い部分(浅筋膜、深筋膜)を縫合することで真皮縫合を行う前に創縁(キズの端)がぴったりとくっついた状態にします(※脂肪腫の手術ではここまで盛り上げて縫合することはあまりありません)。ただし、肥厚性瘢痕やケロイドが生じるリスクが低いかつ露出部位であるため顔や首の手術では盛り上げて縫合しません。
このようにキズをきれいに治す手術は形成外科が専門であり、キズ跡にまで配慮した治療を希望する方は形成外科専門医の手術を受けてください。当院で執刀する医師は、全員がこの縫合方法を習得しています。
手術後に目立たないキズ跡にするためにはキズ跡の方向も重要です。
皮膚の自然なシワの流れをLanger線やrelaxed skin tension line(RSTL)と呼びますが、キズ跡はシワの方向に沿っていると目立ちにくいです。そのため、手術前にシワの方向を確認して、皮膚を切る方向を決定します(ただし、常にこの線に沿って皮膚を切開する(できる)わけではなく、病変の部位、形態などを総合的に判断しています)。
このように当院では皮膚を切開する方向、手術操作、アフターケアなどを全て丁寧に行うことで目立ちにくいキズ跡になるように配慮しています。
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これらは目安であるため、ご不安な方や早めに運動を始めたい方などは医師にご相談ください。
一般的なクリニックでは、初診、手術日、抜糸日、病理結果の説明と最低4回の通院が必要です。しかし、質の高い日帰り手術を行う体制を整えている当院は、初診時に手術を行い、抜糸日に病理結果の説明をしています。そのため、最低2回の通院になるため、医療費や通院の負担が最小限になります。ただし、大きいものや診断が難しいものは病理結果が出るまでに時間がかかるため、抜糸時に結果をお伝えできないことがあります。
どのような部位や大きさの脂肪腫も治療いたします。ただし、巨大なものは大学病院などに紹介しています。
当院ではiViz airという最新のワイヤレス超音波画像診断機を用いています。脂肪腫の大きさや深さを正確に診断することにより安全に治療を行うように努めています(触診で明らかに大きさや深さがわかる病変に対しては超音波検査は行っていません)。

30G針という極細の針を用いることで局所麻酔の痛みを最小限にしています。
皮膚を切開する方向、丁寧な操作、縫合方法に専門的な知識と技術で対応いたします。
真皮縫合、皮膚縫合という2層で皮膚を縫合することで目立ちにくいキズ跡になるような手術をしています。当院は日本形成外科学会専門医が院長をしており、当院の医師は形成外科的な縫合法を習得しています。「単に病変を切除するのみではなく、キズ跡にまで配慮してほしい」という方は当院にお越しください。
当院は皮膚・体表の手術を専門的に行っており、小さな手術から大学病院でのみ行っているような高難度の手術まで年間3,000件以上の手術を行っています。圧倒的な実績に基づき安全性の高い手術を提供しており、緊急搬送を要するような重篤な合併症はこれまで1例もありません。
※手術費用の他に、診察料、病理検査料などがかかかります。
| 露出部(2cm未満) | 約5,000円(3割負担) 約1,700円(1割負担) |
| 露出部(2~4cm) | 約11,000円(3割負担) 約3,700円(1割負担) |
| 露出部(4cm以上) | 約15,000円(3割負担) 約5,000円(1割負担) |
| 露出部以外(3cm未満) | 約3,800円(3割負担) 約1,300円(1割負担) |
| 露出部以外(3~6cm) | 約9,700円(3割負担) 約3,200円(1割負担) |
| 露出部以外(6~12cm) | 約12,500円(3割負担) 約4,200円(1割負担) |
| 露出部以外(12cm以上) | 約25,000円(3割負担) 約8,300円(1割負担) |
治療内容、リスク、費用などの説明後に手術を行いますので、「WEB予約」で「手術・レーザー治療」あるいは「皮膚腫瘍・皮下腫瘍当日治療」の枠をお取りください。まずは診察のみをお受けになりたい方は「皮膚科診療」の枠をお取りください。