女性化乳房症
女性化乳房症
女性化乳房症とは、男性の乳腺組織が肥大し、乳房が女性のように発育した疾患のことです。10000人に3人程度が発症すると報告されています。片側のみに発症することも、両側ともに発症することもあります。
まれな疾患ではありますが、女性化乳房症を治療できる施設が少ないこともあり、当院ではこれまで300例以上の治療を行っています。

男性ホルモンに対する女性ホルモンの割合が高くなると発症しますが、ほとんどの女性化乳房症の原因は不明です。
10代で発症したものの多くは生理的な変化であり、自然軽快が期待できます。20代以降で発症したものは、利尿薬・降圧剤・AGA治療薬などの薬剤、女性ホルモンを分解・不活化する肝臓の機能が低下、女性ホルモンを産生する腫瘍などの疾患などが原因のことがあるため、採血などの検査を行います。
乳腺が肥大したことによる女性化乳房症を真性女性化乳房症といいます。一般的に女性化乳房症と言われるものは真性女性化乳房症のことです。
乳腺が肥大しているのではなく、脂肪が蓄積したことによって乳房が発育したものを偽性女性化乳房症といいます。真性女性化乳房症とは異なり、乳腺の肥大はありません。肥満に伴うものが多く、脂肪の蓄積とともに皮膚の余りがあることも特徴です。
※当院は真性女性化乳房症の治療のみを行っており、偽性女性化乳房症に対する手術は行っていません。
片側、あるいは両側の乳房が女性のように肥大化します。そのため、温泉やジムに行くことができない、胸部を隠すために薄着になれない、など日常生活に影響を及ぼすことがあります。突出した胸部の形態を隠すために筋力トレーニングをする方が多いですが、トレーニングで大胸筋を発達させても多くの方は形態が気になるようです。
真性女性化乳房症では、痛みを伴うことがあります。
まずは、内服薬の確認、採血、画像検査を行い、原因を調べます。これらの検査で異常が見つかったときは、その疾患の治療を行います。特に異常がない方は手術を行いますが、10代の方は自然軽快することがありますので経過観察を勧めます。
手術は、乳輪周囲の切開より肥大した乳腺組織を切除します。乳腺は薄い被膜に覆われており、脂肪組織と比べて硬いため、脂肪吸引単独では真性女性化乳房症の治療を行うことはできません。
真性女性化乳房の乳腺は、乳輪の下に楕円形に存在していることが多く、乳腺のみを切除した場合、切除した辺縁が不自然に盛り上がったり、凹んだりすることがあります。つまり、通常は最も高い位置にあるはずの乳輪部分が凹んで、周囲が盛り上がっているという不自然な形態になりかねません。そのため、乳腺の周囲の脂肪も必要に応じて切除、あるいは脂肪吸引することで、自然な形態を作ります。手術中に立位になってもらい鏡でお互いに形態を確認することで、最善の仕上がりになるようにこだわっています。
当院では、他院で女性化乳房症の手術を受けるも、結果に満足できなかった方の修正手術も行っています。


女性化乳房症では乳輪直下の乳腺およびその脂肪組織が増大するため、多くは乳輪部が最も突出した形態になります。しかし、ここで重要なことは「女性化乳房症でも上胸部は突出しないため、この部位の組織は切除する必要がない」ということです。ここでいう上胸部とは鎖骨と乳房下溝(乳房の膨らみの下端)を結ぶ線の上1/3くらいの範囲を意味します。そのため、手術後も上胸部の形態は変わらず、ここが本来の胸部の形態の基準となります。
女性化乳房症の手術では乳輪および周囲の乳腺、脂肪組織を切除しますので、基準となる上胸部から乳房下溝にかけて頭尾側(上下)方向に「なだらかな曲線」となるような形態を目指します。この「なだらかな曲線」というのが重要であり、乳房を横から見たときに一部分だけ突出したり、逆に陥凹していると不自然な印象を受けます。

同様に、女性化乳房症では胸部の正中および腋窩も突出しない(例外はあります)ため、左右方向にも「なだらかな曲線」となるような形態を目指します。 そのため、もし手術の仕上がりをイメージするときはご自身の上胸部と正中部(下図の青色の範囲)に手を当て、そこからなだらかな曲線となるように乳輪直下および周囲の組織が減ると考えるとわかりやすいと思います。

ただし、大胸筋の発達や乳腺・脂肪組織の増大の程度などによって必ずしもそのような形態にならないこともあります。
女性化乳房症の手術で乳房下や側胸部の皮膚を切開する医療機関もあります。乳房下や側胸部を切開すると手術は行いやすいのですが、手術後のキズ跡がやや目立ちやすいのが欠点です。当院では極力目立たないキズ跡になるように取り組んでおり、基本的に以下の切開で行います。
乳輪が大きく、乳腺の肥大の程度が小さい方は乳輪下1/3~半周程度の切開を行います。乳輪が小さい方や乳腺の肥大が大きい方は乳輪の下半周+補助切開(左右に少し切開を広げます)を行います。こうした小さな切開は手術の視野が狭いことが欠点ですが、目立ちにくいキズ跡になることが利点です。


・腫れ、内出血:軽度のものを含めたら必ず起こります。多くは1~3週間ほどで軽快します。
・血腫、漿液腫:再手術で止血が必要となることがあります。特に大きな乳房の方は頻度が高くなります。
・疼痛:手術当日や翌日は痛いことがあるため、適宜痛み止めを内服して下さい。
・感染:まれですが、生じた場合は洗浄などの処置が必要になることがあります。
・縫合不全:まれですがシャワー浴の際は擦らずに優しく洗って下さい。
・知覚低下:軽度のものを含めたら必ず起こります。胸部の皮膚の感覚が鈍くなりますがりますが、多くは時間経過とともに軽快します。
・乳輪の壊死:まれですが皮膚切開部辺縁の血流が悪くなり部分的に乳輪が壊死することがあります。
・左右差:乳房の形はもともと左右非対称であり、わずかな左右差は残ります。目立つような左右差が生じたときは修正手術を行うことがあります。
・キズ跡:最大限目立たないように配慮しますが、キズ跡を全くのゼロにすることはできません。ドレーンを挿入するため、側胸部にも円状の小さなキズ跡ができます。
・肥厚性瘢痕、ケロイド:まれですがキズ跡やドレーン挿入部が肥厚性瘢痕やケロイドになることがあります。その際は注射などの追加治療をすることがあります。
・脂肪の硬結:切除した周囲の脂肪が硬くなります。多くは時間経過とともに軽快しますが、硬さが残ることがあります。
・局所麻酔薬に対するアレルギー反応、アナフィラキシーショック
女性化乳房症の方から「保険適用で日帰り手術をしてくれる病院が見つからない」という話を聞きます。これにはいくつかの原因がありますが、最大の原因は女性化乳房症の手術は「採算が取れない」ためと言われています。
女性化乳房症に対する保険適用の基準は決まっておらず、保険点数(治療費)も明確なものはありません。多くの病院では保険点数として「乳腺腫瘍摘出術 5cm以上 6,730点」を適用しています。6,730点というのは67,300円であり、3割負担の方の自己負担額は20,000円程度になります。
「病院にとって67,300円の収入になるなら十分ではないか」と考えられる方もいると思います。しかし、その中には医師や看護師、スタッフの人件費、医療機器の購入費用や滅菌費用、縫合針やドレーン、ガーゼ、弾性包帯などの材料費も含まれています。また、女性化乳房症の手術は片側あたり2時間程度かかることもありますし、手術後は厳密な圧迫や安静を行いますので、手間がかかる治療です。そのため、女性化乳房症に対して保険適用で日帰り手術をすると、医療機関は赤字になってしまうのです。職員や通院してくれる患者さんを守ることも医療機関の重要な役割なので、赤字になる治療を積極的にできるはずがありません。そのため、女性化乳房症に対して保険適用で日帰り手術を行う医療機関はほとんどないのです。女性化乳房症は稀な疾患であるため、このことは問題として提起されていませんが、女性化乳房症に悩む方にとっては大きな問題です。しかし、医療費を削減する流れの中で今後保険点数が上がるとは考えにくく、現状が変わる可能性は低いと考えます。
当院は、女性化乳房症に対して自由診療で日帰り手術をしていますが、費用によって治療を諦める方がいなくなるように一般的な相場の半額程度にしています。自由診療の分、十分な時間をかけ、最善の仕上がりになるように治療しています。
| 片側 | 330,000円 |
| 両側 | 550,000円 |
※保険適用外の自由診療です。

術式:左女性化乳房症手術
治療回数:1回
リスク:内出血、腫れ、痛み、血腫・漿液腫、肥厚性瘢痕・ケロイド、縫合不全、知覚低下、感染、左右差、脂肪の硬結、乳輪の血流不良・壊死、炎症後色素沈着、修正手術の可能性、局所麻酔のアレルギーなど
費用:約330,000円
まずは診察で手術適応の評価、リスク、費用などの説明をしますので、「WEB予約」で「手術・レーザー治療」の枠をお取りください。手術をご希望の方は、診察後に手術日程をお決めいただけます。
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