皮様嚢腫(デルモイドシスト)
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皮様嚢腫(デルモイドシスト)
生まれつき生じる皮下腫瘍であり、皮膚成分が骨縫合線に迷入することで発生するとされています。眉毛の外側あたりに生じることが多く、他に鼻根付近や耳介後面などの骨縫合部があるところに生じます。緩徐に増大するため、多くは幼小児期になって初めて気づかれます。
半球状に軽度に隆起した皮下腫瘍として認めます。通常痛みはありません。
超音波検査で診断できることがほとんどですが、ときに骨欠損を伴うこともありCTやMRIなどを撮影することがあります。
放置しても悪性化することはありませんが、自然軽快することはありません。ゆっくりと増大することが多いため、確定診断も兼ねて外科的切除を行います。外用薬やレーザーなどで治療することはできません。ただし、眉毛外側部には顔面神経側頭枝という前頭筋(眉毛を挙げる筋肉)を支配する重要な神経があるため、慎重に摘出する必要があります。
適切な手術を受ければ再発することはほとんどありません。

皮膚は浅いところから表皮、真皮、皮下組織に分けられますが、真皮にキズができると、キズを治すために炎症が起こり、その後に血管新生やコラーゲン産生などの創傷治癒が起こります。通常、こうした創傷治癒の過程で炎症は徐々に改善してきます。しかし、手術後のキズに感染、血腫、真皮に引っ張る力が加わるなどの刺激が加わり続けると炎症はいつまでも改善せず、血管新生やコラーゲン産生が過剰に生じます。その結果、肥厚性瘢痕やケロイドという赤く盛り上がったキズ跡になります。
そのため、手術後のキズをきれいに治すためには①キズをスムーズに治癒に導く、②キズを引っ張る力を予防する、③形成外科専門医の手術を受ける、の3点が重要です。

キズをスムーズに治癒に導くためには手術後のキズを清潔に保つこと、乾燥させないことが重要です。そのため、手術翌日よりキズをシャワーで優しく洗浄してください(ボディソープの泡で洗うイメージです)。その後、処方された軟膏をキズに塗布し、絆創膏などで覆ってください。ガーゼを使用する際は、ガーゼにキズがくっつかないように軟膏は多めに塗布してください。これを1日1~2回、抜糸まで行っていただきます。
もちろんこれらには例外はありますので、手術後に適切なケア方法を指示いたします。
抜糸したらキズは治ったと思う方もいますが、まだ創傷治癒は完成していません。抜糸後も創傷治癒は進んでいきますが、この過程でキズ(真皮)を引っ張る力が加わると、肥厚性瘢痕やケロイドが生じやすくなります。特に前胸部、上腕、肩甲骨部、上背部、下腹部などの皮膚を引っ張る力が強くかかりやすい部位では注意が必要です。

そのため、手術後は「キズを引っ張る力」を予防するためにアフターケアをしてください。具体的には創部の安静を守る(キズが引っ張られないようにくっつけておく)ためにテーピング(マイクロポア、アトファインなど)やシリコンジェルシート(ケロコートなど)を3か月間使用していただきます。これらは入浴中も貼りっぱなしでよく、マイクロポアは3日に1度、アトファインは5~7日に1度の交換、ケロコートは1日2回の塗布を目安としてください(もちろん汚れたり剥がれたりしたら貼りかえてください)。


さらに、手術後3ヵ月間はキズが引っ張られるような運動を控える(キズを動かさない)ことが理想です。しかし、運動を早めに開始したい方も多いと思います。手術後もできるだけ普段通りの生活を送ることも重要であるため、キズと生活のバランスを相談しながら運動の程度を決めていきます。
キズをきれいに治すためにはキズ(真皮)を引っ張る力を予防することが重要であり、アフターケアが必要なことを説明しました。しかし、手術操作によってもキズを引っ張る力を予防することができます。具体的には、真皮を引っ張る力が小さくなるように盛り上げて縫合をします。ときに下の画像のように真皮より深い部分(浅筋膜、深筋膜)を縫合することで真皮縫合を行う前に創縁(キズの端)がぴったりとくっついた状態にします(※皮様嚢腫の手術ではここまで盛り上げて縫合することはありません)。ただし、肥厚性瘢痕やケロイドが生じるリスクが低いかつ露出部位であるため顔や首の手術ではあまり盛り上げて縫合しません。
このようにキズをきれいに治す手術は形成外科が専門であり、キズ跡にまで配慮した治療を希望する方は形成外科専門医の手術を受けてください。当院で執刀する医師は、全員がこの縫合方法を習得しています。
手術後に目立たないキズ跡にするためにはキズ跡の方向も重要です。
キズ跡はシワの方向に沿っていると目立ちにくく、皮膚の自然なシワの流れをLanger線やrelaxed skin tension line(RSTL)と呼びます。そのため、キズ跡を最大限目立たせなくするために手術前にシワの方向を確認して、皮膚を切る方向を決定します(ただし、常にこの線に沿って皮膚を切開する(できる)わけではなく、病変の部位、形態などを総合的に判断しています)。
このように当院では皮膚を切開する方向、手術操作、アフターケアなどを全て丁寧に行うことで目立ちにくいキズ跡になるように配慮しています。
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これらは目安であるため、ご不安な方や早めに運動を始めたい方などは医師にご相談ください。
一般的なクリニックでは、初診、手術日、抜糸日、病理結果の説明と最低4回の通院が必要です。しかし、質の高い日帰り手術を行う体制を整えている当院は、初診時に手術を行い、抜糸日に病理結果の説明をしています。そのため、最低2回の通院になるため、医療費や通院の負担が最小限になります。ただし、大きいものや診断が難しいものは病理結果が出るまでに時間がかかるため、抜糸時に結果をお伝えできないことがあります。
どのような部位や大きさの皮様嚢腫でも治療することができます。
当院ではiViz airという最新のワイヤレス超音波画像診断機を用いています。皮様嚢腫の大きさや深さを正確に診断することにより安全に治療を行うように努めています(触診で明らかに大きさや深さがわかる病変に対しては超音波検査は行っていません)。

30G針という極細の針を用いることで局所麻酔の痛みを最小限にしています。
皮膚を切開する方向、丁寧な操作、縫合方法に専門的な知識と技術で対応いたします。
真皮縫合、皮膚縫合という2層で皮膚を縫合することで目立ちにくいキズ跡になるように配慮しています。専門クリニックとして、「病変の根治性のみではなく、どの医療機関よりも質の高い縫合を提供する」という気概で取り組んでいます。
当院は皮膚・体表の手術を専門的に行っており、小さな手術から大学病院でのみ行っているような高難度の手術まで年間3,000件以上の手術を行っています。圧倒的な実績に基づき安全性の高い手術を提供しており、緊急搬送を要するような重篤な合併症はこれまで1例もありません。
皮様嚢腫はこどもにできることが多く、ご両親が入院や全身麻酔ではなく、日帰りの局所麻酔で行いたいと思うのは当然だと思います。
しばしば「何歳から局所麻酔で手術ができますか?」という質問をお受けしますが、短時間の局所麻酔の手術は「治療を受けたいという本人の意思があれば7歳頃から可」と考えています(もちろん個人差があります)。こども達にもなぜ治療するかを説明すれば大人しく手術を受けてくれることが多いですが、最後は性格によるところもあるようです。ただし、皮様嚢腫はまぶたの近くに生じることが多いため、局所麻酔での手術は10歳以降が無難と考えます。
医師とご両親から治療の必要性を説明することが重要だと考えていますので、まずはお気軽に診察にお越しください。
※手術費用の他に、診察料、病理検査料などがかかかります。
※自治体の医療費助成が適用されますので、東京23区内にお住いの18歳以下の方の自己負担はありません。
医療費助成の対象年齢や助成費は自治体によって異なりますので、詳しくはお住いの市区町村にご確認ください。
| 露出部(2cm未満) | 約5,000円(3割負担) 約1,700円(1割負担) |
| 露出部(2~4cm) | 約11,000円(3割負担) 約3,700円(1割負担) |
| 露出部(4cm以上) | 約15,000円(3割負担) 約5,000円(1割負担) |
治療内容、リスク、費用などの説明後に手術を行いますので、「WEB予約」で「手術・レーザー治療」あるいは「皮膚腫瘍・皮下腫瘍当日治療」の枠をお取りください。まずは診察のみをお受けになりたい方は「皮膚科診療」の枠をお取りください。