異所性蒙古斑
異所性蒙古斑
お尻、腰、背中に見られる青あざを蒙古斑といいますが、これら以外の部分にできた蒙古斑を異所性蒙古斑と言います。
※現在、新規の異所性蒙古斑の患者様の診察は行っていません(通院中の方の診察は通常通り行っています)
蒙古斑は日本人の乳幼児のほぼ100%に認めます。胎児期には真皮にメラノサイトというメラニンを作る細胞が存在しますが、通常は生まれてくるまでにメラニンは消失します。しかし、何らかの原因で真皮にメラニンが残存すると蒙古斑や異所性蒙古斑になるとされています。
蒙古斑、異所性蒙古斑ともに3歳頃まで色調の変化はありません。むしろ、出生直後は生理的黄疸という皮膚の黄色みがある状態のために目立ちにくいのですが、生理的黄疸が改善するにつれてはっきりしてきます。その後、3歳頃から徐々に色調は薄くなり、ほとんどの蒙古斑は10歳頃までに自然消退します。異所性蒙古斑も90%以上は10歳ころまでに自然消退しますが、残存することがあります。
異所性蒙古斑はレーザー照射が最も有効な治療法になります(蒙古斑はレーザー照射の適応となることはあまりありません)。
異所性蒙古斑も10歳頃まで自然に薄くなっていきますが、一部の異所性蒙古斑は残存します。そのため、10歳になっても残存した異所性蒙古斑だけにレーザーを照射すればいいのでは?と思われる方もいるかもしれません。しかし、年齢が低い方がレーザーの効果は高く、レーザーを照射する面積も小さくて済みます。また、10歳頃になると遮光が難しいことがありますし、小学校に入るまでに治療を終えたいと希望するご両親もいらっしゃいます。そのため、残存する可能性が高い異所性蒙古斑は幼児期よりレーザー照射を行うことをお勧めします。
しかし、実際には、残存する可能性が高い異所性蒙古斑を見分けることは容易ではありません。一般的には、①広範囲のもの、②色調が濃いもの、③境界が明瞭で分節的なものが残存しやすいと言われています。また、私達の経験上は、④薄い異所性蒙古斑の中にスポット上に濃いものがあるものも残存しやすいです。ただし、必ずしもこうしたものだけが残存するわけではありませんので、よく相談してからレーザーを照射するか決定します。
レーザー照射は若干の痛みを伴いますので、小範囲のときはアイスパックでの冷却、広範囲のときは麻酔クリーム(エムラクリーム)や麻酔テープ(ペンレステープ)を貼付して痛みを和らげます。
保険上は3か月ごとにレーザーを照射することができますが、3か月では色素沈着や色素脱失が残存していることが多く、6か月程度空けた方が少ない照射回数で治療を終えることができます。
異所性蒙古斑を治療する際に最も重要なことは「完全に消すことを目指さない」ことです。異所性蒙古斑は自然消退する傾向があるため、完全に消すことを目指してレーザーを照射すると必ず色素脱失が起こります。軽度の色素脱失は時間経過とともに軽快しますが、広範囲になると軽快するまで時間がかかったり、残存したりします。そのため、ほどほどで治療を終了し、あとは自然消退を待つ方が最終的には良い結果になります。
また、1つご理解いただきたい点は、レーザーを照射したとしても異所性蒙古斑は「均一に薄くなるわけではない」ということです。レーザーはほぼ均一に照射していますが、レーザーの反応は必ずしも均一ではありませんし、回数を重ねると色素沈着や色素脱失も混じってきます。レーザーを照射すると均一に色調が薄くなっていくというイメージを持っている方が多いのですが、治療の過程で色調がまだらになる時期があります。こうしたまだらな色調は時間経過とともに徐々に改善していきますので、長期的な視点で治療を考える必要があります。
※治療費用の他に、診察料などがかかかります。
※自治体の医療費助成が適用されます(例:東京23区:15歳まで自己負担なし)。
医療費助成の対象年齢や助成費は自治体によって異なりますので、詳しくはお住いの市区町村にご確認ください。
項目 | 料金 |
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4cm²未満 | 約6,000円(3割負担) 約2,000円(1割負担) |
4~16cm² | 約7,110円(3割負担) 約2,400円(1割負担) |
16~64cm² | 約8,700円(3割負担) 約2,900円(1割負担) |
64cm²以上 | 約11,900円(3割負担) 約4,000円(1割負担) |