毛穴
毛穴
毛穴とは、名前の通り毛が生えている穴のことですが、皮膚から毛が飛び出している部分は凹んでおり、一般的にはこの凹みを毛穴と呼んでいます。毛穴には皮脂を分泌する皮脂腺が開口しています。
「毛穴が目立つ」という症状は毛穴が広く、深い(以下、「毛穴の広がり」と表現します)ことを指しているように思いますが、実際には、毛が生えている、角栓があるなどの理由で毛穴が目立ってしまう人もいます。
つまり、「毛穴が目立つ」とは包括的な表現であり、主に以下の3つの症状を含んでいます。
・毛が生えている
・角栓がつまっている
・毛穴が広がっている
そのため、まずはご自身の「毛穴が目立つ」のがどのような原因によって起きているかを考える必要があります。しかし、ほとんどの方は程度の差はあるものの複数の症状が混在しているため、それぞれの症状に対してアプローチする必要があります。
ニキビや酒さなどの皮膚疾患がある方は毛穴の広がりが起こりやすくなります。皮膚疾患があると、治療法の制限やリスクが高くなる可能性がありますので、まずは最優先で治療します。
また、毛穴に開口している皮脂腺から分泌された皮脂の一部は毛穴に貯留するため、結果として毛穴の広がりの原因になります。そのため、皮脂の分泌量が多いほど毛穴が広がり、角栓が増加します。また、女性の皮脂量は40~50代頃から減少しますが、男性はあまり減少しないとされています。つまり、皮脂のコントロールはほぼ全ての方にとって重要な治療選択肢になります。
また、毛穴の広がりは単に皮脂の過剰分泌のみによって起こるものではありません。30代以降では、皮膚のたるみも毛穴の広がりの原因となります。特に30~40代にかけてたるみによる毛穴の広がりが目立ちやすくなります。
つまり、毛穴の広がりの原因は年齢によって変化し、20代までの方の皮脂の過剰分泌の関与が大きく、年齢を重ねるほど皮膚のたるみの要素も加わってきます(もちろん個人差はあります)。
こうしたことを考慮すると、毛穴治療の順番として
➀生活習慣を改善する
➁皮膚疾患(ニキビ、酒さなど)を治療する
➂脱毛する
④角栓を取り除く
⑤毛穴の広がりを改善する
・皮脂を減少させる
・毛穴を縮小させる
・物理的に毛穴の平坦化させる
の順に行うことをお勧めします。もちろん➀が不要な方、➀と➂は不要な方などいますので、症状に合わせて治療を進めていくことになります。
食事や睡眠の改善はもちろん、スキンケアや皮膚の物理的刺激を最小限にして、皮膚のバリア機能、保湿機能を保つことは重要です。特に遮光は必須です。
ニキビや酒さなどの皮膚疾患は毛穴の広がりの原因になります。
詳細は治療法は「皮膚科」の項目をご覧ください。
特に太い毛が生えている方は有効な治療法です。
角栓を取り除くと一時的に毛穴はきれいになったように見えますが、単に角栓を取り除いただけでは時間経過とともに元と同じ状態になります。そのため、長期的に効果を持続させるには、次の「毛穴の広がりを改善する」治療も併用することが重要です(実際には、毛穴の広がりを改善する治療の多くは角栓を取り除く効果もあります)。
a. ケミカルピーリング
角栓を取り除き、皮膚の新陳代謝を促します。角栓を取り除くことに加え、ニキビができにくくなる、肌質を改善させることに効果があります。2週間~1か月に1度のペースで行います。
ケミカルピーリングはダウンタイムや副作用が少なく、手軽に行いやすい治療です。
毛穴を改善させるために皮脂のコントロールは重要な治療です。皮脂を減少させる治療はいくつかありますが、イソトレチノインが最も皮脂抑制効果は高く、効果も長く続くため第一選択です。ただし、副作用や費用のこともあるため、イソトレチノインの内服をできない(希望しない)方は他の治療選択肢を検討してください。
a. イソトレチノイン(アクネトレント)
皮脂腺の退縮、抗菌作用、抗炎症作用を有する内服薬です。重症ニキビの治療薬としても用いられています。
「体重1kgあたりの積算量が120mg以上」を目安に内服します。例えば、体重50kgの方は120mg/kg × 50kg = 6000mgの積算量が必要であるため、20mgを300日、あるいは30mgを200日内服することを目安にします。
肝機能、中性脂肪などに影響を与える可能性があるため、定期的な採血が必要です。副作用として、皮膚や粘膜の乾燥、鼻出血、頭痛、めまい、精神症状、肝機能低下、炎症性腸疾患、催奇形性などがあります。
また、以下の方は内服することができません。
・妊娠中や妊娠を予定している方、授乳中の方(胎児に影響を与える可能性があるため):内服終了後も男性は1ヵ月、女性は6ヵ月間は妊娠を避けてください。
・12歳以下の方(骨の発達抑制の可能性があるため):18歳未満の男性、15歳未満の女性も原則として内服を控えていただいています。
・大豆アレルギーがある方:薬に大豆油が含まれているため
・肝臓の病気や脂質異常症(高脂血症)がある方
・テトラサイクリン系の内服薬(ミノマイシン、ビブラマイシンなど)を使用している方
・ビタミンA過敏症の方
b. マイクロボトックス
顔の筋肉の動きを抑えることでシワを目出せなくする治療としてボトックスが用いられますが、真皮(皮膚のごく浅い層)にボトックスを細かく注射することをマイクロボトックスといいます。真皮に注射することでボトックスが皮脂腺に作用し、皮脂が減少します。
マイクロボトックスは、注射2~3日後から効果が出現し始め、1~2週間程度で効果が安定します。その後、効果は4か月程度持続します。通常は顔の筋肉の動きを抑えることはありませんので、表情の変化などを心配する必要はありません。
当院では31Gの三連針という皮内注射専用の針を用いることで確実な効果と痛みの軽減に取り組んでいます。
皮膚の再構築のきっかけを与える範囲、密度、深さなどによって治療効果に差はありますが、明らかに優れた治療法というのは今のところありません。こうした毛穴を縮小させる治療を選ぶ際は、ダウンタイム、費用、副次的効果などを考えて「気に入ったものを行う」ので十分であり、経験豊富な医師と相談することをお勧めします。
ただし、1点だけ強調したことがあります。こうした毛穴を縮小させる治療に対して効果がなかったという意見を聞くことがありますが、それは「本当に効果がなかったのか」、あるいは「他に毛穴が目立つ理由があるのか」を考える必要があります。例えば、20代や30代前半の方が「ポテンツァ受けたけど毛穴は何も変わらなかった」と感じるのは、ポテンツァが悪いのではなく皮膚のたるみがなかったため効果が限定的だった可能性が高いです(当然、イソトレチノインによる皮脂抑制の方が治療の優先順位は高い)。逆に、30代以降のたるみに伴う毛穴の治療は、皮膚のタイトニングを通じて毛穴が縮小しますので、こうした治療の効果を実感しやすくなります。
つまり、若年者ほどイソトレチノインの重要性が高く、30代以降の方はイソトレチノインに加えて毛穴を縮小させる(皮膚をタイトニングする)治療を追加するのが好ましいです。
a. フラクショナルレーザー
フラクショナルレーザーは、皮膚表面にごく小さな点状の穴を多数あけ、そこから皮膚の再構築を期待するレーザーです。施術前に麻酔クリームを塗布しますので、痛みはそれほどありません。当院はルートロニック社のeCO2 Evolutionを用いており、レーザー照射径・エネルギー・照射密度などを最適化しながら治療を行います。1ヶ月ごとに5~10回ほど行うことをお勧めします。
b. ダーマペン
髪の毛よりも細い極細針を電動でコントロールし、皮膚に微細な穴を無数に開けることで皮膚の創傷治癒を引き起こし、毛穴を改善させる治療です。施術前に麻酔クリームを塗布しますので、痛みはそれほどありません。
施術後は赤みや出血、腫れがありますが、出血するくらいしっかり治療する方が効果は高くなります。ダウンタイムは1週間ほどです。1ヵ月ごとに5~10回ほど行うことをお勧めします。
炭酸ガスレーザーを用いて毛穴を含めた皮膚を平坦化させる治療法です。治療効果は最も高いのですが、ダウンタイムは長く、後述する厳密なアフターケアの必要性や(頻度は低いものの)合併症も起こりうるため、重症毛穴に対する治療法という位置付けです。
この治療法は、炭酸ガスレーザーで皮膚を蒸散し、適切な創傷治癒を促すことで治療効果が現れます。そのため、創傷治癒を促す厳密なアフターケアが2週間必要です。その後に赤みが2~3カ月(鼻)、3~6か月(前額、頬部内側)程度続きます。
ごくまれですがレーザー照射部位が肥厚性瘢痕になることがあり、創傷治癒に精通した医師の治療と厳密なアフターケアは必須です。
項目 | 費用 |
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全顔 | 8,800円 |
首 | 8,800円 |
上腕(片側あたり) | 8,800円 |
胸部(デコルテ) | 8,800円 |
背中 | 16,500円 |
項目 | 回数 | 費用 |
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全顔 | 1回 | 11,000円 |
項目 | 回数 | 費用 |
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全顔 | 1回 | 22,000円 |
5回 | 88,000円 |
項目 | 費用 |
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鼻翼 or 鼻尖のみ | 55,000円 |
鼻全体 | 110,000円 |
項目 | 費用 |
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全顔 | 55,000円 |
鼻のみ | 22,000円 |
項目 | 費用 |
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10mg | 7,700円 |
20mg | 13,200円 |