酒さ
酒さ
赤ら顔と呼ばれることもあり、鼻や頬、前額などに赤みが生じる疾患です。30~50歳代に発症しやすく、男性よりも女性に多い傾向があります(10~20代に発症することはほとんどありません)。皮膚の症状に加えて、顔のほてりや不快感、ヒリヒリ感を感じやすいことが特徴です。気温変化、紫外線、ストレス、アルコール、ニキビダニ、激しい運動、花粉などが関与しているとされていますが、これらと関連がなく発症することもあり、明らかな原因はわかっていません。酒さの方は皮膚の水分量が少ないため、遮光や丁寧なスキンケア(擦らない洗顔、低刺激性の洗顔料や保湿剤)が必須です。
ステロイド外用薬などの長期使用によって生じる顔の赤みは、酒さ様皮膚炎といいます。どちらも顔に赤みやほてりを生じることがあり、病名と症状は似ていますが、酒さと酒さ様皮膚炎は異なる病気です。
酒さは、第1度(紅斑毛細血管拡張型)、第2度(丘疹膿疱型)、第3度(鼻瘤)に分類され、他に眼型というタイプもあります。
主に鼻、頬、眉間などに一次的な赤みが出現します。最初は一時的であった症状も徐々に長引くようになり、毛細血管拡張やほてりなどの症状が出現します。
ニキビに似たような赤いプツプツや膿疱が出現し、病変が顔全体に広がります。
赤いプツプツが融合し、腫瘤のようになります。特に鼻が盛り上がり、「ミカンの皮」と表現されるような見た目になります。
(マルホ株式会社より引用)
酒さに対してロゼックスゲルという外用薬を使うことができるようになりました。ロゼックスゲルは殺菌作用、抗炎症作用、免疫抑制作用などを有しており、酒さの原因のひとつと言われているニキビダニや炎症を改善する作用があります。
ロゼックスゲルは特に丘疹膿疱型(赤くて膿をもった盛り上がり)に有効であり、紅斑毛細血管拡張型にはあまり効果がありません。そのため、保険適用外ですが、紅斑毛細血管拡張型にはミルバソゲルという外用薬が用いられることがあります。ブリモニジンという成分が血管を収縮させることにより、一時的に赤みを軽減させる作用があります。塗布してから3~4時間後をピークに12時間程度の持続効果があります。
また、丘疹膿疱型ではロゼックスゲルに加えて、抗生物質を3~4か月程度内服することがあります。抗生物質は抗菌作用に加えて抗炎症作用があり、酒さの原因となっている炎症を軽快させることに有用です。
酒さは治療するとすぐに治るというものではありません。外用や内服を正しく行っても、症状がよくなったり、悪くなったりを繰り返すことがありますので根気よく治療を続けることが重要です。
紅斑毛細血管拡張型にはVbeam IIという血管を閉塞させるレーザーを用いて治療を行います。ただし、炎症が強いと合併症のリスクが高いため、丘疹膿疱型にはまずロゼックスゲルや抗生物質などを用いて炎症を軽快させてからレーザー照射を行います。
Vbeam IIとは、血液中のヘモグロビンに選択的に吸収されることで、血管を内壁から熱破壊し、血管を閉塞させるレーザーです。輪ゴムで弾かれる程度の痛みのため、小範囲の病変では麻酔は必要ありません。酒さに対するVbeam IIは保険適用外の治療です。
鼻瘤には外用薬や内服薬は効果がないため、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)を用いて治療を行います。炭酸ガスレーザーで隆起した部位全体を削っていきます。2~3日間ほど滲出液が続きますが、削った部分は2週間ほどで上皮化(キズが治癒)します。その後、赤みが持続しますが2~3か月ほどで軽快します。