手掌多汗症
手掌多汗症
一般的に手汗と呼ばれるもので、手のひらに多量に発汗する病気です。「テスト用紙が汗で破れる」「握手ができない」「スマホが手の汗で反応しない」など日常生活に大きな影響があります。
精神的緊張、交感神経の活性化との関連が指摘されていますが、明らかな原因はわかっていません。多くの方は10代に症状が現れ、年齢を重ねても自然軽快する傾向はありません。
手掌多汗症の方は国内に500万人近くいると推計されており、珍しい病気ではありません。
手のひらに多量の発汗があるため、ペンを持ちにくい、書類が汗で染みる、常に汗がしたたり落ちるなどの症状が出ます。発汗は日中に多く、寝ているときにはないのが特徴的です。
<手掌多汗症の診断基準>
手の多汗症状が6カ月以上続き、以下の6症状のうち2項目以上に当てはまる方
①最初に手の多汗症状が出たのが25歳以下
②左右の手のひらに汗をかく
③睡眠中は発汗が止まっている
④1週間に1回以上、手の多汗症状がみられる
⑤家族に同じ症状の方がいる
⑥手汗のために日常生活に支障をきたしている
初めて保険適用になった外用薬です。皮膚から吸収されて、皮膚の下にある発汗を促す物質(アセチルコリン)をブロックすることで、過剰な発汗をおさえます。12歳以上の方が使用することができ、当院では手掌多汗症の第一選択の治療にしています。
1日1回、寝る前に両方の手のひらに塗ってください。1回に塗る量は、両方の手のひらに対してポンプ5プッシュ分が目安
です。薬を塗った手で目をこすらないように注意して下さい。お薬を塗ったまま就寝し、起床後に流水で手をよく洗って下さい(手を洗った後に再度お薬を塗る必要はありません)。
主な副作用として、かぶれ、口の渇き、尿が出にくいなどがあります。
以前は保険適用の外用薬がなかったため、塩化アルミニウムローションという外用薬を用いることが多かったのですが、保険適用の外用薬が出たことで使用することは少なくなりました。
手を水中、あるいは濡れた布の上に置き、弱い電流を流す治療法です。水中で発生する水素イオンが汗の出口に作用することで発汗を抑えます。
30分程度の治療ですが、毎週通院する必要があり、通院を中断すると症状が再燃します。そのため、現実的にこの治療を受けることができる方は少なく、当院ではイオントフォレーシスは行っていません。
ボツリヌス毒素が神経細胞内で作用し、アセチルコリンが神経の外に出られないようにすることで発汗を抑えます。アポハイドローションの効果を実感できない方や毎日外用することが難しい方が適応になります。
手のひらの注射は痛みが強いため、まずは手のひらの感覚を鈍くするための麻酔の注射を行います。さらに、テープやクリームの麻酔薬を手のひらに塗布し、20~30分ほど待機してもらいます。その後、手のひらにボトックスを注射していきます。注射後3日くらいで効果が出始め、1週間ほどで安定します。効果は6ヵ月程度(4~9カ月)持続します。手の動きに影響が出る可能性はほとんどありません。
手掌多汗症の方に対するボトックス注射は保険適用外の自由診療になります。
発汗をおさえるプロバンサインという内服薬を使います。内服後4~5時間ほど効果が持続しますので、朝食後と昼食後の1日2回内服するのが一般的です。内服をやめると汗の量は元に戻るため、継続して内服する、あるいはどうしても汗をかきたくないときのみ内服します。主な副作用として、口の渇きや便秘などがあります。
他の治療法で効果を認めないときに適用となります。内視鏡的胸部神経遮断術(ETS:Endoscopic Thoracic Sympathectomy)といい、わきの下から内視鏡を挿入し、多汗の原因となっている胸部の交感神経を遮断します。当院では行っていない治療のため、信頼できる医療機関を紹介します。
項目 | 費用 |
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両手 | 55,000円 |