手足症候群
手足症候群
手足症候群とは、乳がんや大腸がんなどの化学療法や分子標的薬を用いた治療中に生じる皮膚疾患の総称です。原因ははっきりしていませんが、抗がん剤や分子標的薬による表皮細胞の障害に加えて、外的な刺激が加わることで発症すると考えられています。
手足症候群はがん治療に伴う皮膚疾患であるため、がん専門病院でも治療できます。しかし、がん専門病院では皮膚疾患の治療に十分な診療時間を確保することができないのが現状だと思います。また、患者さんも「このくらいのことを相談していいのかな」と思うことが多いようです。手足症候群はクリニックでも治療することはできますので、近くの医療機関で治療することをお勧めします。
※手足症候群の治療を希望して遠方から受診される方がいますが、当院にしかできないような特別な治療法はありません。まずはお近くの医療機関を受診してください。
手や足に赤みやむくみ、乾燥、ひび割れ、ときに水疱が生じ、ピリピリするような感覚の異常も出ることがあります。症状が悪化すると、痛みを伴い、潰瘍やびらんが生じ、重症な方は、物をつかむことができない、痛みのために歩くことができない、などの症状が出ます。多くの方はこうした症状が左右両側に現れます。
手足症候群は重症度に応じて以下のようにGrade 1~3に分類されています。
疼痛を伴わないわずかな皮膚の変化または皮膚炎(例:紅斑、浮腫、角質増殖症)
疼痛を伴う皮膚の変化(例:角層剥離、水疱、出血、浮腫、角質増殖)
疼痛を伴う高度の皮膚の変化(例:角層剥離、水疱、出血、浮腫、角質増殖症)
原因となっている薬剤を中止することにより数週間で軽快しますが、手足症候群の治療よりがん治療が優先されるため、基本的に原因となっている薬剤を中止することはありません。そのため、スキンケアとステロイド外用薬などを用いて、手足症候群をコントロールしながらがん治療を継続することになります。
がん治療中は皮膚が乾燥していることが多く、手洗いの度にこまめに保湿をしてください。びらんや潰瘍ができた方は、細菌感染も併発することがありますので抗生剤を内服してもらうことがあります。