帯状疱疹
帯状疱疹
加齢や疲労、ストレス、睡眠不足などにより、神経に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウイルス(水ぼうそうのウイルス)が活性化することによって発症します。50歳以上の方に好発し、80歳までに3人に1人が罹患します。そのため、50歳以上の方は予防接種を行うことが推奨されています。ほとんどの方は生涯で1度しか発症しませんが、再発率は6.4%と報告されており、生涯で2度以上発症する方もいます。
口唇ヘルペスと似た病気と思われることもありますが、帯状疱疹は口唇ヘルペスを引き起こすウイルス(単純ヘルペスウイルス)とは別のウイルスが原因です。
左右どちらかの神経に沿って帯状に浮腫んだような赤みや水疱が出現し、しばしば痛みも伴います。ときに数日~1週間程度の神経痛の後に皮疹が出現することがありますので、皮疹がない時期は診断が難しいことや肋間神経痛などと診断されることがあります。
皮疹が出現した後のほとんどの帯状疱疹は問診と視診で診断できますが、ときに診断に迷うこともあります。その際は、デルマクイックVZVという診断キットも用いて正確に診断をします(10分以内に結果が出ます)。
目まわりや鼻の尖端あたりに出現した帯状疱疹は結膜炎や角膜炎になる可能性があり、眼科の受診が必要になりますので紹介状をお渡しします。また、顔の帯状疱疹は顔面神経麻痺、めまい、難聴を引き起こすRamsay Hunt症候群の原因となることがあります。
重症になると、ウイルスが全身に広がり、全身に皮疹が出現します(汎発性帯状疱疹といいます)。発熱している方や高齢者、痛みが強い方、顔に発症した方、汎発性帯状疱疹の方は入院が必要になることがあります。
治療は、ウイルスの増殖を抑制する薬(抗ウイルス薬)を7日間内服してもらいます。抗ウイルス薬とはウイルスの増殖を抑えるものであり、ウイルスを殺すわけではありません。そのため、抗ウイルス薬を内服しても、すぐに軽快するわけではなく、数日間は皮疹が拡大することがあります。ウイルスは皮膚だけでなく、神経でも増殖しているため、途中で中止せずに7日間しっかり内服して下さい。
現在用いられている抗ウイルス薬は、①バルトレックス、②ファムビル、③アメナリーフです。この3種類のうち、アメナリーフは、腎機能が低下している方にも安心して使うことができます。また、バルトレックスやファムビルは1日3回内服する必要がありますが、アメナリーフは1日1回の内服でいいため、服用しやすいことが特徴です(ただし、他の2つより薬価が高いです)。
帯状疱疹の最大の問題点は、皮膚症状が治癒した後も痛みが残ることがあることです(帯状疱疹後神経痛といいます)。軽度の違和感が続く程度のこともありますが、ときに眠れないほどの痛みや灼熱感が続くことがあります。
痛みの原因に血管の収縮が関与しているとされており、発熱などがない限りは入浴で温めてもらうと痛みがやわらぎます。また、痛みがある部分にカイロを用いることも有効です(やけどに注意してください)。逆に冷却をすると、冷やしている間は一時的に痛みがよくなりますが、血流の低下により痛みを増強させるため冷やさないようにしてください。
帯状疱疹後神経痛が生じた際にはカロナールなどの痛み止めに加えて、リリカやタリージェ、ノイロトロピンなどの神経に対する痛み止めを使用します。