保険診療の眼瞼下垂はデザインを重視しない?
- 2023年5月28日
- 眼瞼下垂
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科の藤木政英です。
保険診療の眼瞼下垂に関し、「デザインを重視しない」「仕上がりに不満を言ってはいけない」「医師は目を開けることができればよいと考えている」などの噂があるようです。私は、保険診療、自由診療を含めて多くの眼瞼手術をしてきましたが、保険診療の眼瞼下垂の方がデザインに時間がかかります。
自由診療は、ご本人の希望を正しく把握する、ダウンタイムを最小限にする、などの特有の難しさはありますが、基本的に正常のまぶたのため、希望する仕上がりに合わせてデザインをすることはそれほど難しくありません(ただし、デザインと手術結果は必ずしも一致しないという眼瞼手術の難しさがありますが、話が複雑になるため今回は割愛します)。しかし、加齢に伴う眼瞼下垂(保険診療)は、年齢、上まぶたの皮膚の余り、前頭筋(おでこの筋肉)の緊張、挙筋機能(目を開ける力)、眼窩脂肪の変性、瞼板と挙筋腱膜の結合など、加齢に伴ってまぶたの解剖や状態が変化するため、考慮するものがたくさんあります。そのため、保険診療の眼瞼下垂のデザインは難しく、私は術前のデザインに配慮するだけではなく、術中に目の開きや形態を確認しながらデザインを微調整しています。また、手術中は、患者さんに何度も鏡をお見せして、仕上がりを相談しています。保険診療の眼瞼下垂はデザインを重視しないというのは誤りですし、保険診療の眼瞼下垂を行う医師で「デザインを重視しない」と言っている人に会ったことがありません。
しかし、火のない所に煙は立たぬ、というように、このようなことが一般的に言われるのは、理由があるように思います。ある美容クリニックのホームページを拝見すると、「保険診療の眼瞼下垂の手術は仕上がりがいまいち」と堂々と記載してあります(そういうクリニックに限って形成外科医がいなかったりする・・・)。保険診療でも自由診療でも仕上がりは医師の技術と経験に大部分が依存しますので、この記載は全く真実ではありません。しかし、保険診療を行うクリニックより美容クリニックの方が情報をたくさん提示していることは事実であり、マーケティング方法も多岐にわたっています。そのため、こうした美容クリニックのマーケティングの巧みさが、真実を覆い隠してしまっています。
保険診療を行うクリニックが正しい情報を発信することで、誤った情報を信じる方が1人でも減ることを願っています。
監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長
皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。
皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。