リストカット跡に対するエキスパンダーを用いた切除術を開始します|クリニックひいらぎ皮膚科形成外科|目黒区・池尻大橋駅

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医療コラム

リストカット跡に対するエキスパンダーを用いた切除術を開始します|クリニックひいらぎ皮膚科形成外科|目黒区・池尻大橋駅

リストカット跡に対するエキスパンダーを用いた切除術を開始します

クリニックひいらぎ皮膚科形成外科の藤木政英です。

リストカットは14人に1人程度の方が行うとする報告もあり、頻度が少ないものではありません。

リストカット跡の治療法としてさまざまなものが報告されていますが、広範囲のものには十分な治療法がないのも現状です。そのため、当院ではエキスパンダーを用いたリストカット跡の切除術を開始します。

エキスパンダーとは、乳がん切除後の乳房再建などでも用いられる皮膚を伸展する医療機器のことです。手術は少なくとも2度必要ですが、どれほど時間や手間がかかっても最大限の治療効果を得たい方に向いている術式です。 1度目の手術で、リストカット跡に隣接する皮膚(リストカット跡がない部位)の筋膜上にエキスパンダーを挿入します。1度目の手術後2週間頃から、1~2週間ごとに挿入したエキスパンダーに生理食塩水を注入し、徐々に拡張していきます。リストカット跡がない部分の皮膚を十分に伸展することができるまで、5~10回ほど生理食塩水を注入します。

その後、2回目の手術でリストカット跡がある皮膚を切除し、伸展した皮膚で被覆します。手術後1週間はギプス固定を行います。手術時間は1度目、2度目とも1.5~2時間程度です。

患者さん、医療者の両方にとって治療に要する時間や手間は圧倒的に大きいですが、ご自身の正常な皮膚を用いるため、最終的な結果は削皮術や戻し植皮術より優れていると考えます。広範囲のリストカット跡に対して有効な治療法ですが、リストカット跡がない部分の皮膚を伸展させる必要があるため、うでの背側にも腹側にもリストカット跡がある方は適応になりません。リストカット跡がない部分の皮膚の範囲が少ない方は、同様の手術を2回以上行う必要があります。

この治療法は特殊なものではなく、日本形成外科学会誌などでも報告されている方法です。他のクリニックではほとんど行われていない治療法ですが、手術手技は確立されていますのでご安心下さい。

合併症:感染、出血、疼痛、肥厚性瘢痕、エキスパンダーの感染・破損・露出・意図しない移動

※エキスパンダー挿入中はMRIを撮影することはできません。

藤木政英

監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長

皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。

皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。

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