Vbeam Ⅱの原理について解説します
- 2024年12月1日
- レーザー治療
クリニックひいらぎの藤木政英です。
Vbeam Ⅱは「赤みを取るレーザー」と思われがちですが、これは正確ではありません。Vbeam Ⅱのレーザー光は血管内のヘモグロビンに吸収され、光エネルギーが熱エネルギーに変換し、熱が発生することで血管を閉塞させます。つまり、Vbeam Ⅱは赤いものに反応しているわけではなく、血管内のヘモグロビンに反応して血管を破壊することで効果を現します(実際、Vbeam Ⅱは赤色の刺青(タトゥー)には効果はありません)。
そのため、ヘモグロビンが少ないごく細い血管や、血管を閉塞させるほど十分な熱を発生させることができない静脈瘤のような太い血管には効果が限定的です。
Vbeam Ⅱはパルス色素レーザーと呼ばれるレーザーの一種ですが、初期のパルス色素レーザーより効果、安全性とも格段に高くなっています。特に初期のパルス色素レーザーと比較して大きく改善したのは、サブパルスという方法が開発されたことによります。初期のレーザーでは、1回の照射で1発のパルスのみ(単パルス)であったため、0.45m秒という短い照射時間幅(パルス幅)しか用いることはできませんでした。短いパルス幅では、細い血管病変の治療はできるのですが、太い血管病変には効果がありません。そのため、初期の色素レーザーは限られた病変にしか効果がありませんでした。
しかし、複数のパルスを一定の間隔で連続で発振することで、疑似的に長いパルスとして出力するサブパルスが開発されたことによりパルス幅が0.45~40m秒まで調整することができるようになりました。詳細な機序は割愛しますが、このことによりこれまでは治療できなかったさまざまな血管病変の治療を行うことができるようになりました。
Vbeam Ⅱの有名な合併症として、紫斑があります。紫斑は、血管が破壊された結果、血管から血液が漏出することによって生じます。そのため、血管が破壊されたことを示しているため、紫斑が生じることは必ずしも悪いことではありません。実際に単純性血管腫では紫斑が出るように照射をしますし、本来は炎症後紅斑や毛細血管拡張症も紫斑が出るように照射をした方が治療効果は高いと考えます。しかし、整容的な要素も大きいこうした疾患ではダウンタイムを気にされる方が多く、あえて紫斑になりにくい設定で照射をすることがあります。
効果、ダウンタイムなどを考慮して、レーザーの設定を細かく調整できるのもVbeam Ⅱの特徴です。
監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長
皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。
皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。