「やけどの痕(あと)は残りますか??」に対する答え|クリニックひいらぎ皮膚科形成外科|目黒区・池尻大橋駅

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医療コラム

「やけどの痕(あと)は残りますか??」に対する答え|クリニックひいらぎ皮膚科形成外科|目黒区・池尻大橋駅

「やけどの痕(あと)は残りますか??」に対する答え

クリニックひいらぎ皮膚科形成外科の藤木政英です。

熱傷(やけど)を受傷したときに「やけどの痕(あと)は残りますか??」とよく聞かれますが、患者さんにとって当然の疑問だと思います。しかし、この質問に対して医師から明確な答えをもらえたことは少ないのではないでしょうか。医師が明確に答えない理由は「多くの熱傷は経過を見ないとわからない」というのが本音だからです。

皮膚は浅いところから表皮、真皮、皮下組織に分かれますが、表皮のみのやけどを1度、真皮に達すると2度、皮下組織に達すると3度と呼びます。表皮には基底細胞という細胞があり、この細胞が細胞分裂することで表皮は再生されます(これを上皮化と言います)。上皮化が起こるとあとを残さずに治癒するため、1度のやけどは「あとが残らずに治ります」と言うことができます。しかし、2度になると表皮の基底細胞が損傷されてしまいます。真皮には毛包や汗腺などの皮膚付属器と呼ばれる部分があり、基底細胞が損傷されたときはこの皮膚付属器が上皮化に関与します。そのため、2度のやけどは皮膚付属器が温存されていれば上皮化しますし、皮膚付属器が全て損傷していれば上皮化が起こりません。そのため、2度のやけどは「あとが残るかはわからない」と言うことになります(専門医はある程度の予測はできます)。さらに、皮膚付属器も全て損傷する3度のやけどは上皮化が起こらないため、手術が必要になりますし、「あとが残ります」ということになります。しかし、やけどは時間とともに深くなることがあり、創傷治癒は損傷の深さだけでなく、体質、栄養状態、部位、血流、感染の有無などのさまざまなものに影響されるため、話は単純ではありません。いずれにしてもやけどの初期において最も重要なことは、上皮化に関与する組織が極力温存されるように冷却や軟膏で処置を行うことです。

ここまで読んでいただけたら、「やけどの痕は残りますか??」という質問に対する答えが難しいことがわかっていただけたと思います。当院では3度のやけどに対する手術も日帰りで行っています(手のひら1枚分程度の大きさまで)ので、やけどでお困りの方はぜひ当院を受診して下さい。

藤木政英

監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長

皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。

皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。

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