腋窩多汗症の手術を受ける方にご了承いただきたいこと
- 2023年7月12日
- 日帰り手術
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科の藤木政英です。
暑い時期になり、腋窩多汗症の治療を受ける方が増えております。腋窩多汗症の治療は、この数年で新しい薬が出てきております。代表的なものとして、エクロックゲル(塗る薬)、ラピフォートワイプ(拭く薬)、プロバンサイン(内服薬)、ボトックス注射が保険適用となっています。しかし、こうした治療は効果が一時的であり、根本的な治療を希望する方には今でも手術は重要な治療選択肢です。
手術はこのような手順で行いますが、腋窩の皮膚の解剖を見ていただきたいです。
このように腋窩の汗は、エクリン腺とアポクリン腺という汗腺が原因となっています。エクリン腺から出る汗はさらさらしており、においが少ないのに対し、アポクリン腺から出る汗はべとつき、特有のにおいがあります。腋窩多汗症の手術は、皮膚を裏返して、皮膚の裏側から主にアポクリン腺を切除するという単純なものですが、汗腺を切除するほど皮膚は薄くなります。皮膚が薄くなると皮膚の血流は悪化しますので、皮膚が壊死してしまうリスクやキズ痕(瘢痕)が目立つリスクが高くなります。
そのため、一般的に腋窩多汗症は皮膚が壊死しない範囲で手術を行います。つまり、腋窩多汗症の手術は汗腺を根こそぎ切除するようなものではありません。手術後は、「汗もにおいも70%くらい改善する(逆に言うと、30%くらいは残ってしまう)」というイメージでいただくのがいいと思います。70%の改善で、ほとんどの方は日常生活を問題なく過ごすことができています。それでも気になるようなことがあれば上記の治療薬や腋窩の脱毛、ミラドライ(自由診療)で追加の治療を行うという選択肢もあります。
私たちは、受診して下さった方の人生がより良いものになるように真剣に考えるクリニックでありたいと思っております。
監修 藤木政英(医学博士)
クリニックひいらぎ皮膚科形成外科 院長
皮膚科学と形成外科学の両面から最善の治療を提供しています。
これまで大学病院、虎の門病院、国立がん研究センターなど、第一線の病院で勤務してきた経験から、医学的根拠に基づく誠実な医療を行うことを心がけています。特に形成外科・皮膚外科の日帰り手術、レーザー治療に力を入れており、短時間で終える治療は初診時に行うことができる体制を整えています(詳しくはホームページをご覧下さい)。
皮膚や形態、機能の病気で悩む方に、「より良い人生を送るための医療」を提供するためにクリニックひいらぎを開院しました。